「生理前におりものの量が増えて不快」「いつもと色が違うけれど病気?」――PMS(月経前症候群)の時期、デリケートゾーンの悩みを抱える方は少なくありません。
結論からお伝えすると、漢方ではおりものを「帯下(たいげ)」と呼び、子宮や胃腸の状態を映す「体の通信簿」として重視します。おりものの異常は、体内に余分な「水」や「汚れ」が溜まっているサインです。
私たちれいわ漢方薬局では、PMS期のおりもの変化を「脾虚(水浸し)・湿熱(炎症)・寒湿(冷えの停滞)」で読み解きます。洗いすぎや抗真菌薬では繰り返すデリケートゾーンの悩みも、漢方薬で体内環境を変えれば根本解決できます。
この記事では、PMS期のおりもの変化の正常と異常の見分け方、漢方視点の3タイプ、効力を発揮する漢方薬、養生まで、薬剤師の現場視点で詳しく解説します。
PMS期のおりもの変化|正常と異常の見分け方
結論: 生理前に白く濁った粘り気のあるおりものは正常――黄体ホルモンの作用です。カッテージチーズ状や悪臭・かゆみがあればカンジダや膣炎の可能性があり、婦人科受診が必要です。
黄体ホルモンで白く粘り気になるのは正常
排卵後の黄体ホルモンはおりものを粘り気のある状態に変える――細菌の子宮内侵入をブロックするためです。排卵期の透明で伸びる→生理前は白く濁ってベタッ→直前は量が減るが一般的なサイクル。
水っぽくサラサラ|妊娠超初期の可能性
生理前なのに水っぽいおりものが多い――妊娠超初期のサインかもしれません。黄体ホルモン+エストロゲンの分泌が続くため、サラサラの状態が続きます。個人差が大きいので予定日を過ぎたら検査薬を。
異常なサイン|婦人科受診を
- カッテージチーズ状の白いカス:カンジダ膣炎
- 黄色〜黄緑色・魚が腐ったような臭い:細菌性膣症・トリコモナス
- 激しいかゆみ・痛み:感染症の可能性
これらは婦人科で適切な治療を先に受けてください。
漢方視点|おりものの正体は「湿」の停滞
結論: 漢方ではおりものを「湿(しつ)」の停滞と捉え、①脾虚(胃腸虚弱で水漏れ)、②湿熱(炎症)、③寒湿(冷えの停滞)の3タイプで読み解きます。
脾虚|胃腸虚弱で水が漏れる
「脾(胃腸)」は水分代謝の中心――胃腸が弱いと水を抱えきれず下半身に漏れ落ちる(蛇口が壊れてポタポタ)。サラサラで量が多いおりものになります。
湿熱|脂っこい食事で「真夏の生ゴミ」
甘いもの・脂っこい食事・アルコール過剰で湿気と熱が結合――真夏の生ゴミ状態で菌が繁殖しやすく、黄色く臭いの強いおりものとかゆみを引き起こします。
寒湿|冷えで雑菌が繁殖
体が冷えると水の巡りが悪く、冷たい汚れた水が骨盤内に停滞――日当たりの悪いジメジメした沼状態で、慢性的な膣炎・膀胱炎を繰り返します。
おりものから紐解く|内臓タイプ診断
結論: おりものの「色・量・臭い」で内臓の弱点が分かります。①水浸しタイプ(脾虚)、②炎症タイプ(湿熱)、③潤い不足タイプ(陰虚)の3つに分けて見極めます。
水浸しタイプ|脾虚・腎陽虚
- 特徴: 透明〜白・サラサラまたは粘液状・量多い・無臭
- 体質: 手足の冷え・胃腸虚弱・むくみ
- 原因: 水を留める力の不足
炎症タイプ|湿熱
- 特徴: 黄色〜黄緑色・ネバネバ・酸っぱい/生臭い臭い・かゆみ
- 体質: 暑がり・口が苦い・イライラ・脂性肌
- 原因: 熱と汚れの停滞
潤い不足タイプ|陰虚
- 特徴: 量が極端に少ない・乾燥・性交痛
- 体質: のぼせ・手のひらが熱い・痩せ型・不眠
- 原因: 体液の枯渇(更年期に近い年代)
おりものの異常を整える漢方薬3選
結論: PMSのおりもの異常には①竜胆瀉肝湯(湿熱)、②当帰芍薬散(水浸し+冷え)、③補中益気湯(疲労+ダラダラ)の3つが代表的な漢方薬です。
竜胆瀉肝湯|湿熱タイプ
こんな方に: 黄色く臭うおりもの・陰部のかゆみ・尿の色が濃い・イライラ。
働き: 下半身にこもった湿熱を強力に洗い流す――膀胱炎・膣炎・カンジダの炎症を鎮めます。体を冷やす作用が強いため長期服用は専門家に相談を。
当帰芍薬散|水浸しタイプ
こんな方に: 水っぽいおりもの・冷え性・色白・めまい・むくみ。
働き: 体を温めて血を補いながら余分な水を排出――冷えて水はけが悪い子宮環境を整え、ダラダラ続くおりものを正常化します。
補中益気湯|疲労でダラダラ続く方
こんな方に: 疲れるとおりものが増える・胃腸虚弱・風邪をひきやすい・内臓下垂。
働き: 胃腸を高めて気をチャージし、緩んだ蛇口をキュッと閉める(固摂作用)――免疫力を上げて菌に負けない体を作ります。
「湿」を溜めない食事と養生
結論: 「甘いもの・乳製品を控え、通気性の良い下着、抗真菌食材」の3つで、漢方薬の効力が伸びます。洗いすぎではなく体内環境を変えるアプローチです。
甘いもの・乳製品を控える
砂糖・乳製品・脂っこい食事は「湿」を生む最大の原因――おりものが気になる時はスイーツと揚げ物を控えるだけで、粘り気や臭いが軽減されます。
通気性の良い下着で蒸れを防ぐ
高温多湿は雑菌とカンジダの温床――ポリエステルやガードルは蒸れの原因に。コットンやシルクの下着、布ナプキンで通気性を確保してください。
抗真菌作用の食材を取り入れる
- ニンニク・ネギ:殺菌作用+体を温める
- 梅干し:強力な解毒作用+腸内環境改善
- しょうが:温めと抗菌作用
薬味として積極的に取り入れ、体内を内側からクリーンに。
改善症例|デリケートゾーンの悩みが消えた2例
30代前半|湿熱型の黄色いおりもの
主訴: カンジダを繰り返す、黄色く臭いの強いおりもの、デリケートゾーンのかゆみ。
アプローチ: 竜胆瀉肝湯を1か月、その後当帰芍薬散に切り替え。砂糖と乳製品を制限・コットン下着を徹底。
経過: 1か月でかゆみと臭いが消失、3か月後にはカンジダの再発もなく、清潔な状態を維持できるようになりました。
20代後半|水浸し型の量が多いおりもの
主訴: 冷え性で疲れやすい、水っぽいおりものが大量で不快、生理周期も不安定。
アプローチ: 当帰芍薬散を3か月、温活と動物性タンパク質を併用。
経過: 1か月で量が大幅減少、3か月後には冷えも改善、PMS全般が穏やかになりました。
よくある質問
Q. 生理前のおりもの増加はPMSですか?
A. ホルモン変化の正常な反応です。 ただし「下着が濡れて不快なほど多い」「痒くてたまらない」レベルなら、水毒や湿熱としてケア対象になります。
Q. おりものシートは毎日使わない方がいい?
A. 蒸れの原因になるため通気性を優先してください。 長時間つけっぱなしは菌の繁殖につながります。こまめな交換・自宅では布ナプキンか綿下着で乾燥時間を作ってください。
Q. 漢方薬でカンジダの再発は予防できますか?
A. はい、非常に有効です。 カンジダは常在菌で、殺菌しても体がジメジメした環境だと再発します。漢方薬で湿を取り、カラッとした体質にすれば、菌が増殖できなくなります。
Q. 病院の薬と漢方薬の併用は可能?
A. はい、可能です。 抗真菌薬で急性期を治療し、漢方薬で再発予防体質を作る併用が理想的です。
Q. 妊娠中もおりものに変化があります。
A. 妊娠中はホルモンの影響でおりものが増えるのは正常です。 臭い・かゆみ・血の混入があれば、必ず産婦人科に相談してください。
まとめ|おりもののサインで体内環境を整える
PMS期のおりもの変化は子宮からのお掃除サインであり、体調のバロメーターです。
- 正常は白く濁った粘り気――異常はカッテージチーズ状や悪臭
- 漢方タイプは脾虚・湿熱・寒湿の3つ
- 代表的な漢方薬は竜胆瀉肝湯・当帰芍薬散・補中益気湯
- 養生は甘いもの制限・通気性下着・抗真菌食材
- 洗いすぎより体内環境が解決の鍵
「不快だから洗えばいい」ではなく、体の中からキレイにすれば、デリケートゾーンの悩みは消えます。誰にも言えない悩みこそ、れいわ漢方薬局へお気軽にご相談ください。



