むくみを取る漢方薬はどれ?水の偏りのタイプ別に選び方を解説

むくみを取る漢方薬はどれ?水の偏りのタイプ別に選び方を解説 PMS

「夕方になると靴がきつくて歩きにくい」「朝は顔が腫れて、化粧がのらない」――むくみについてのご相談は、当薬局でも一年を通していただきます。

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結論からお伝えすると、むくみに用いる漢方薬は複数あり、体力と冷えの有無で選び分けます。同じむくみでも、水を出す方向と巡らせる方向では向く人が違います。

当薬局では、いつむくむか、どこがむくむか、他に何が並ぶかを伺って見立てています。むくみという言葉ひとつでは、選ぶところまで進めません。

  1. 漢方でむくみをどう捉えるか
    1. 総量ではなく配置|利尿薬とは働き方が違う
    2. 出す力が落ちている場合もある
  2. むくみのタイプ4つと、タイプ別に用いられる漢方薬
    1. タイプ1 水が偏っている/タイプ2 冷えて動かない
    2. タイプ3 疲れて出せない/タイプ4 巡りが滞っている
    3. 五苓散・当帰芍薬散・防已黄耆湯・桂枝茯苓丸|4タイプの候補
  3. 生理前だけむくむ場合
    1. 排卵後に水をため込む|生理が始まると抜ける
    2. 山の3日前から飲む|周期に連動しない場合
  4. 自分のタイプを確かめる5つの問いと、一緒に出やすい不調
    1. 順番に確かめる5つ|体重の変動を見る
    2. 押した跡が残るか|いつむくむかを見る
    3. 頭の重さ・だるさ・吐き気・水のような下痢|まとめて扱える
  5. 年代で変わるむくみの背景
    1. 20代から40代|背景が積み重なる時期
    2. 50代前後と60代以降
  6. 医療機関での確認が先になる場合
    1. 急に始まった/片足だけ/息切れを伴う
    2. 体重が短期間で大きく増えた|薬によるむくみ
  7. 甘草によるむくみに注意する
    1. 甘草の働き|含むものと含まないもの
    2. 気づくためのサイン|市販薬にも入っている
  8. 生活側でできることと、効果が出るまでの期間
    1. 順番に確かめる5つ|塩分の摂り方と、ふくらはぎ
    2. 夕方に足を上げる|締めつけない
    3. 冷え性より早い|記録は数字で、1か月・3周期で判断する
  9. 改善症例|タイプを見直して動いた2例
    1. ケース1:30代女性|冷えが背景にあった
    2. ケース2:40代女性|甘草が原因だった
  10. よくある質問
    1. Q. むくみに効く漢方薬はどれですか?
    2. Q. 水分を減らしたほうがいいですか?
    3. Q. どのくらいで手ごたえが出ますか?
    4. Q. 漢方薬を飲んだらむくみが増えました。なぜでしょうか?
    5. Q. 片足だけむくみます。冷えでしょうか?
  11. まとめ

漢方でむくみをどう捉えるか

結論: 水が多いのではなく、偏っていると考えます。だから出すだけでは解決せず、配り直す方向が要ります。

総量ではなく配置|利尿薬とは働き方が違う

足がむくんでいるのに口は渇く。この組み合わせは珍しくありません。総量は足りていても、必要な場所に届いていない状態です。

漢方ではこれを水の偏りと捉えます。多いところから少ないところへ配り直すという考え方です。

水を減らせばよいという発想とは、向かう先が違います。減らすと、渇いている場所がさらに渇きます。

飲む量を我慢しているのにむくむ、という方は、この点で損をしています。

西洋薬と並べると、違いがはっきりします。

水分に関わる漢方薬というと、体から水を出す薬だと受け取られがちです。実際には、偏りをならす方向のものが中心です。

そのため、脱水気味の方が飲んでも水がさらに減るわけではありません。

下痢のときに使われる場面があるのも、同じ理由です。出す方向だけの薬なら、そこには使えません。

水分を控えるようにと言われた経験がある方ほど、この違いを知っておく価値があります。

出す力が落ちている場合もある

温める力が落ちて水が動かない、巡りが滞って戻らない、そもそも作る力が足りない。原因によって手の入れ方が変わります。

水を出す漢方薬だけを飲んでも変わらない、という場面はここから生まれます。

効かなかったのではなく、手をつける場所が違っていたということです。

冷えが背景なら温める側から、疲れが背景なら補う側から。順番を先に決めておくと、遠回りが減ります。

むくみのタイプ4つと、タイプ別に用いられる漢方薬

結論: 水が偏っている、冷えて動かない、疲れて出せない、巡りが滞っている。この4つで選ぶものが変わります。順に五苓散(ごれいさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が軸になります。

タイプ1 水が偏っている/タイプ2 冷えて動かない

のどが渇くのに尿が少ない、天気が崩れる前に頭が重い、めまいがする。体力を問わずに出る形です。

むくんでいるのに口が渇くという組み合わせが、最も分かりやすい目印になります。

体力の強い弱いを問わないので、ほかのタイプより当てはまる方が広くなります。

天気が崩れる前に頭が重くなるかどうかも、同じ側の目印です。雨の前日に決まって出るなら、当てはまります。

2つめは、温度が下がって止まっている形です。

手足が冷たい、お腹が冷たい、下半身が重い、寒がり。温める力が落ちて、水が動かなくなっている状態です。

冷えを取らないと、水だけを出そうとしても続きません。

お腹に手を当てて、胸のあたりより冷たいかどうかで確かめられます。朝いちばんが分かりやすいところです。

冷たい飲み物を摂ると決まって重くなる、という方も同じ側に寄ります。

タイプ3 疲れて出せない/タイプ4 巡りが滞っている

疲れやすい、汗をかきやすい、体力がない、全身がむっちりしている。いわゆる水太りの形です。

出す力そのものが落ちているため、補いながら出す方向になります。

出す側だけを強くすると、さらに消耗します。方向が正反対というより、順番の問題です。

少し動いただけで汗をかく、膝に水が溜まりやすいという点も同じ側の目印になります。

4つめは、流れのほうが動いていない場合です。

生理痛が重い、経血に塊が混じる、顔色がくすむ、肩こりがひどい。血の滞りに水の滞りが重なった形です。水だけを扱っても、血が滞っているぶん戻りが遅くなります。両方に同時に手を入れる形になります。

舌の裏の血管が太く、暗い紫色をしているかどうかも手がかりです。朝いちばんに鏡で見ると分かります。

下の表は、4つのタイプを目印と向かう方向で見比べたものです。当てはまる欄が多い行が、その方の主なタイプになります。

タイプ 主な目印 向かう方向
水が偏っている 口が渇くのに尿が少ない 配り直す
冷えて動かない 手足とお腹が冷たい 温めながら動かす
疲れて出せない 汗をかきやすい、体力がない 補いながら出す
巡りが滞っている 生理痛、塊、くすみ 血と水を同時に

五苓散・当帰芍薬散・防已黄耆湯・桂枝茯苓丸|4タイプの候補

効能効果には、のどが渇いて尿量が少ないものという条件のもとで、むくみが含まれます。体力を問わずに使えるのが特徴です。

甘草を含まないため、他の漢方薬と併用しやすい部類でもあります。天気が崩れる前に頭が重くなる方に向きます。

効き方が比較的早く、飲んだ日のうちに変化を感じる方もいらっしゃいます。天気が崩れる前に飲む使い方もできます。

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2つめのタイプには、温めながら配り直す1本が当たります。

血を補いながら水をさばく組み立てです。冷え、貧血の傾向、生理不順が並ぶ方に向かいます。

顔色が青白く、疲れやすく、めまいや立ちくらみが出る形が典型です。

こちらも甘草を含まないので、ほかのものと重ねやすい部類です。

補う方向を含むぶん、たまるまでに時間がかかります。1か月で見限らず、3か月を見ておく形が向いています。

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3つめには、押し出す力を支えるものを選びます。

効能効果には、体力中等度以下で疲れやすく汗のかきやすい傾向があるもののむくみと定められています。

全身がむっちりした水太りの形が対象です。膝に水が溜まりやすい方にも用いられます。

甘草を含むので、ほかの漢方薬と併せる場合は合計の量を見る必要があります。

体力が中くらい以上ある方には物足りない組み立てです。疲れやすさがあるかどうかで分かれます。

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4つめには、流れを動かす方向で組みます。

血の滞りに向かう漢方薬です。生理痛が重い、経血に塊が混じる、顔がのぼせて足が冷たいという方に向きます。

むくみが主訴でなくても、血の滞りが背景にあると水も動きにくくなります。

動かす働きが強いぶん、支える力が要ります。痩せ型で疲れやすい方には負担が大きくなります。

こちらも甘草を含まないので、ほかのものと重ねやすい部類です。

生理前だけむくむ場合

結論: 周期に連動しているなら、その時期に絞った組み立てが可能です。山の3日前から飲み始めます。

排卵後に水をため込む|生理が始まると抜ける

排卵から生理までの期間は、体が水分をため込む方向に傾きます。体重が1キロから2キロ増える方も珍しくありません。

食べすぎたわけではないのに増えるなら、水として溜まっている可能性が高くなります。

毎朝同じ条件で体重を量っておくと、周期のどこで増えるかが分かります。排尿の後、同じ服装でという形です。

増えた分は、生理が始まれば戻ります。この時期の数字だけを見て落ち込む必要はありません。

終わり方のほうも、はっきりしています。

生理が始まると、ため込んでいた水が抜け始めます。生理2日目や3日目から急に楽になるという方が多いのは、このためです。

むくみが最もきついのは生理が始まる直前、という方が多く見られます。

抜けるまでの日数も、記録しておくと材料になります。5日以上かかるなら、周期以外の要因が混ざっている可能性があります。

この経過が分かっていると、つらい時期に慌てずに済みます。

山の3日前から飲む|周期に連動しない場合

症状が出てから飲むより、出る時期の手前から飲むほうが手ごたえが出ます。生理予定日の1週間前くらいからが目安です。

まず1周期記録して、生理開始日から何日目に山が来るかを確かめてから決めます。

書くのは、朝の体重と夕方の靴のきつさだけで足ります。手帳の隅に1行で済みます。

山の位置が分かれば、飲み始める日が決まります。カレンダーに印をつけておくと、当日になって思い出す形から抜けられます。

暦と合わない方もいらっしゃいます。

毎日むくんでいる、生理と関係なく続く。この形では、生活側や別の原因を疑います。

座っている時間の長さ、塩分の摂り方、睡眠時間。この3つが最初に見る場所になります。

飲んでいる薬にむくみを起こすものがないかも、あわせて確かめる価値があります。飲み始めた時期と重なっていれば、そこが答えです。

1か月ぶん記録すると、周期と関係があるかどうかがはっきりします。感覚では、たいてい判断がつきません。

自分のタイプを確かめる5つの問いと、一緒に出やすい不調

結論: 口の渇き、冷え、汗、生理との関係、そして体力。この5つで方向が絞れ、候補も決まります。頭が重い、めまい、体のだるさ、下痢。水が偏ると、むくみ以外の場所にも症状が出ます。

順番に確かめる5つ|体重の変動を見る

  1. のどが渇くのに尿が少ないか
  2. 手足やお腹が冷たいか
  3. 汗をかきやすいか、疲れやすいか
  4. 生理の周期に連動しているか
  5. 日中しっかり動けるか

1番が当てはまれば五苓散、2番なら当帰芍薬散、3番なら防已黄耆湯が候補になります。

2つ以上当てはまる方も珍しくありません。その場合は、いちばん強く出ているものから手をつける形です。

5番は、補う側が要るかどうかを分ける項目です。日中に動けていないなら、出す前に補う順番になります。

いちばん確かな材料は、数字のほうです。

朝と夜で1キロ以上変動するなら、水の出入りが不安定になっています。朝起きて排尿の後、同じ服装で測ると比べられます。条件を固定しないと、比べられません。服装や測る時刻が変わると、そのぶん数字も動きます。

毎日でなくて構いません。週に2回か3回、同じ曜日に測る形でも足ります。

朝の数字だけを並べると、周期との関係が見えてきます。1か月ぶんで、おおよその形が分かります。

押した跡が残るか|いつむくむかを見る

すねの前を10秒ほど押して、跡がへこんだまま残るか。残るなら、水が溜まっている量が多い形です。

跡がすぐ戻るなら、水よりも巡りの問題が主になっていることがあります。

押す場所は、すねの骨のすぐ横が分かりやすいところです。指1本で、10秒数えながら押します。

夕方に見るほうがはっきりします。朝は溜まっていないことが多いためです。

出る時間帯にも手がかりがあります。

朝だけ、夕方だけ、1日中。朝に顔がむくむなら上半身、夕方に足がむくむなら下半身に偏っています。

上半身に偏る方は、寝ているあいだに水が戻る形です。塩分の摂りすぎや、前夜の飲酒が背景にあることがあります。

下半身に偏る方は、日中に下へ溜まる形です。座っている時間の長さが効いてきます。

1日中という方は、どちらの要因も重なっている可能性があります。時間帯を7日ぶん記録すると、偏りが見えてきます。

頭の重さ・だるさ・吐き気・水のような下痢|まとめて扱える

水が上のほうに偏った形です。天気が崩れる前に出るという方は、この傾向が強くなります。

むくみと頭の重さは別々の不調に見えて、背景は同じことがあります。別々に手当てしようとすると、飲むものが増えるばかりです。

1つの漢方薬で両方に届くなら、そのほうが負担も少なく済みます。

天気の記録と並べると、関係があるかどうかが分かります。雨の前日に決まって出るなら、当てはまります。

全身のほうにも出ます。

朝から体が重い、動き出すのに時間がかかる。水が全身に溜まっている形です。

体重の数字より、この体感のほうが先に変わることがあります。

朝に起き上がるまでの時間を目安にする方もいらっしゃいます。数字にしにくい部分ですが、3段階でメモすれば比べられます。

数字が動かない時期でも、体感が変わっていれば方向は合っています。

消化の側に現れることもあります。

胃のあたりに水が溜まると出ます。みぞおちを軽く叩いてちゃぷちゃぷと音がするかどうかは、自分で確かめられる目安です。音が聞こえるのは、朝の空腹時がいちばん分かりやすいところです。食後は飲んだものの音と区別がつきません。

胃薬を飲んでも変わらない、という方はこちらが背景のことがあります。向かう先が違うためです。

冷たいものを摂ると重くなるかどうかも、同じ側の目印になります。

下に抜けていく形もあります。

腸に水が溜まった形です。冷たいものを摂ると決まって出るという方は、この経路が疑われます。

腹痛をあまり伴わないのが特徴です。食あたりのように痛みが強いものとは、性質が違います。

下痢を止める薬とは向かう先が違います。水を配り直す方向のものが、この形には合います。

冷たい飲み物を常温に変えるだけで減る方もいらっしゃいます。まず試せる部分です。

並べてみると、共通点があります。

これらが同時に出ているなら、背景を1つと見るほうが扱いやすくなります。むくみに手を入れると、あわせて軽くなることがあります。症状ごとに薬を足していくと、飲むものが増えていきます。甘草の量も、そのぶん積み上がります。

1つの見立てで説明がつくかどうかを、まず考える順序です。つかない場合は、別の背景が混ざっています。

複数の症状を一緒に記録しておくと、この判断がしやすくなります。

年代で変わるむくみの背景

結論: 20代から30代は生活側、40代は周期とホルモン、60代以降は心臓と腎臓の確認が先になります。

20代から40代|背景が積み重なる時期

座りっぱなし、塩分の多い食事、睡眠不足。生活側が主な原因になっていることが多い年代です。

飲むものを足す前に、まず1時間ごとに立ち上がることと、塩分の頻度を半分にすることを2か月試す価値があります。

この年代は、生活を変えれば戻る余地が大きく残っています。飲むものを足すのは、そのあとで足ります。

2か月試して変わらなければ、そこで初めて体質の側を見る形です。

少し上の年代では、背景が重なってきます。

生理の周期に連動する形が増えます。生理前だけむくむ、生理が始まると抜ける。

周期が乱れ始める時期でもあり、記録を取ると山の位置が変わっていることに気づく方がいます。

去年と同じ日数で見当をつけていると、ずれるようになります。3周期ぶん取り直すと、いまの形が分かります。

仕事や家庭の負荷が重なる時期でもあります。睡眠が削られていないかも、あわせて見る点です。

50代前後と60代以降

ホルモンの変動に加えて、冷えとのぼせが同居し始めます。むくみだけを扱っても全体が整わない場面が増えます。顔は熱いのに足は冷たい、という形が出てきます。上だけを冷ますと足の冷えが増し、下だけを温めると顔の熱が上がります。

この時期は、巡らせる方向が土台になることが多くなります。むくみは、その中の1つとして扱う形です。

周期そのものが不規則になるので、記録の取り方も変わります。日付ではなく、症状の出方で見る形になります。

さらに上の年代では、確かめる先が変わります。

心臓や腎臓の働きが背景にあることが増える年代です。息切れを伴う、押した跡が深く残るといった場合は、確認が先になります。

飲んでいる薬にむくみを起こすものがないかも、あわせて確かめます。

お薬手帳を1冊にまとめておくと、この確認が数十秒で済みます。複数の医療機関にかかっている方ほど効いてきます。

甘草の影響も出やすくなる年代です。量と期間の管理が、より重要になります。

医療機関での確認が先になる場合

結論: 急に始まった、片足だけ、押した跡が深く残る、息切れを伴う。こうした形では検査が先です。

急に始まった/片足だけ/息切れを伴う

数日で急にむくむようになった。心臓、腎臓、肝臓の問題が背景にあることがあります。

何年も続いているものとは、扱いが変わります。いつからかがはっきり言えるかどうかが分かれ目です。

血液検査と尿検査で、おおよその見当が付きます。時間もそれほどかかりません。

異常がないと分かれば、そのあとは体質から整える方向に進めます。除外するための確認という位置づけです。急ぐ理由がないなら、先に済ませておく形が確実です。

2つめは、片方だけに出ている場合です。

左右で明らかに差がある。血管の問題が疑われる形です。痛みや熱を伴う場合は、急を要することがあります。むくみは、左右そろって出るのが普通です。片側だけというのは、そこに理由があることを示します。

長時間座ったあとや、旅行のあとに出た場合はとくに確かめる場面です。ふくらはぎの痛みを伴うなら、なおさらです。

触って比べれば、差があるかどうかはその場で分かります。同じ場所を同じだけ押す形です。

3つめは、呼吸のほうが並ぶ場合です。

坂道や階段で息が切れる、横になると苦しい。心臓の働きが関わっている可能性があります。

むくみに息切れが並ぶときは、漢方薬で様子を見る場面ではありません

以前は上れた階段で息が切れる、という変化が手がかりです。年齢のせいだと片づけられやすい部分でもあります。

夜に横になると苦しくて、枕を高くしないと眠れない。この形も同じ側の合図になります。

体重が短期間で大きく増えた|薬によるむくみ

1週間で3キロ以上増えた、といった場合も確認が要ります。

食べた量では説明がつかない増え方かどうかが分かれ目です。水として溜まっている場合、数日で動きます。

毎朝同じ条件で量っていれば、この変化には気づけます。排尿の後、同じ服装でという形です。

生理前の1キロから2キロは、周期によるものとして扱えます。それを超える増え方が続く場合は、別に考える場面になります。

数字が残っていると、伝えるときにも役立ちます。

飲んでいるものが原因のこともあります。

一部の降圧薬、痛み止め、ホルモン剤にはむくみを起こすものがあります。飲み始めた時期と重なっていないかを確かめてください。

甘草を含む漢方薬を飲んでいる方では、そちらが原因のこともあります。

むくみを取るつもりで飲んでいるものが、むくみを起こしているという形です。気づきにくいところでもあります。

お薬手帳を持参すれば、その場で確かめられます。市販で買っているものも書き足せます。

甘草によるむくみに注意する

結論: むくみを取ろうとして飲んだ漢方薬が、むくみの原因になることがあります。甘草を含むかどうかが分かれ目です。

甘草の働き|含むものと含まないもの

甘草を長く飲んだり、複数の漢方薬を併用したりすると、体内のカリウムが減ります。その結果、むくみ、体重増加、血圧の上昇が出ることがあります。

むくみで飲んでいるのに、むくみが増えるという逆転が起こり得ます。

飲み始めてから出たかどうかが目印です。もともとあったむくみとは、時期で分けられます。

止めれば戻ることがほとんどです。7日から14日で体重もむくみも戻る方が多くみられます。

どこに含まれているかは、はっきりしています。

五苓散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸には甘草が入っていません。むくみの相談では、この3つが扱いやすい部類になります。

一方、防已黄耆湯、抑肝散(よくかんさん)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)には含まれます。

含むものを選べないわけではありません。量を数える必要が出てくる、という意味です。2つ以上を併せる場合は、とくにここを確かめる形になります。

気づくためのサイン|市販薬にも入っている

顔や足がむくむ、靴やゆびわがきつくなる、数日で体重が2キロ以上増える、手足に力が入りにくい、足がつりやすくなった。

1つずつだと年齢のせいだと思われがちですが、並べるとはっきりします。飲み始めてから出たかどうかが目印です。

体重を毎朝同じ条件で量っておくと、気づける速さが変わります。

むくみは自分では分かりにくいので、すねを指で押して跡が残るかどうかで見る形が確実です。

見落としやすいのは、処方箋の外にあるものです。

風邪薬、のどの薬、胃腸薬、のど飴。処方された薬だけを数えていると、この分が抜け落ちます。

のど飴は薬ではないという感覚で、数に入れていない方が多くいらっしゃいます。1日に何個も舐めていれば、それなりの量になります。

箱や袋の成分表示に、甘草もしくはカンゾウと書かれています。買うときに一度見ておくと、あとで数えやすくなります。

季節によって増えるものでもあります。風邪をひきやすい時期は、そのぶん重なります。

生活側でできることと、効果が出るまでの期間

結論: 塩分、水分の飲み方、ふくらはぎ、姿勢、そして冷え。この順で見直すと、飲むものの手ごたえも変わります。水の偏りによるむくみは早く動き、2週間から1か月で変化が出ることが多くあります。

順番に確かめる5つ|塩分の摂り方と、ふくらはぎ

  1. 塩分の多い食事の頻度を半分にする
  2. 水分は減らさず、こまめに分けて飲む
  3. 1時間に1回立ち上がり、かかとの上げ下げを20回する
  4. 夕方に20分だけ足を上げて横になる
  5. 下半身を冷やさない(靴下、腹巻き)

2番で水分を減らそうとする方がいらっしゃいますが、逆効果になることがあります。足りないと体はため込む方向に働きます

最初に見るのは、口から入る量です。

外食や加工食品が続いている時期に、むくみが悪化していないかを見ます。1週間記録すると偏りが見えます。全部を減らす必要はありません。頻度の高いものを1つ減らすところから始まります。

汁物を残す、麺類のスープを飲み切らない。この2つだけでも、1週間では相当な差になります。

1つずつ外して7日ほど様子を見ると、自分に影響しているかどうかが分かります。関係がなければ、戻して構いません。

次は、押し戻す側の力です。

ふくらはぎの筋肉は、下半身の水を上に戻す働きを担っています。座りっぱなしの時間が長いと、この働きが止まります。

1日20分の歩行も効いてきます。

座ったままかかとを上げ下げするだけでも、この筋肉は動きます。20回で1分もかかりません。

まとめて運動するより、こまめに動くほうがこの目的には合っています。1時間に1回立ち上がる形から始まります。

夕方に足を上げる|締めつけない

日中に溜まった水を戻す方法です。20分ほど横になって足を心臓より高くすると、夜間の尿の回数にも影響します。壁に足を立てかける形で足ります。道具も要りません。

寝る直前より、夕方から夜のはじめのほうが向いています。寝る直前だと、夜中にトイレで起きることがあります。

足が心臓より高くなっているかどうかだけを確かめます。クッションを1つ挟む程度では、足りないことがあります。

身につけるものにも、注意する点があります。

きつい靴、補正下着、長時間の前かがみ。いずれも巡りを落とします。

脱いだときにゴムの跡がくっきり残るなら、締めつけています。跡が残らない程度のものを選ぶ形が向いています。

着圧タイプの靴下は、目的に合っていれば役に立ちます。ただし、きつすぎるものを長時間つけると逆に働きます。

前かがみの姿勢は、お腹まわりを圧迫します。デスクの高さを見直すだけで変わることもあります。

どれも今日から確かめられる部分です。

冷え性より早い|記録は数字で、1か月・3周期で判断する

手足の冷えが3か月から6か月かかるのに対し、むくみは比較的早く動きます。水は動かしやすいためです。

天気による頭の重さが変わってきた、夕方の靴のきつさが減ったといった形で気づきます。

2週間から1か月で動きはじめる方が多くみられます。冷えのように季節をまたぐ必要はありません。

早く分かるぶん、合っているかどうかの判断もしやすくなります。1か月で見当が付きます。

変化を拾うには、書いたものが要ります。

朝の体重、夕方の靴のきつさ、押した跡が戻るまでの時間。これらを記録します。

見た目では判断しにくく、気づいたときには数日経っているため、数字が要ります。

書くのは1日1行で足ります。時間にすれば10秒ほどです。

1か月ぶんたまると、周期との関係も一緒に見えてきます。むくみの記録と生理の開始日を並べる形です。

それでも変わらないときの目安もあります。

見立ての方向、飲めている量、生活側の要因。この3つを確かめます。塩分の多い食事を続けながら水を出す漢方薬を飲むのは、綱引きをしているようなものです。

多いのは2番目です。1日3回のところを1回しか飲んでいない、飲み忘れが週の半分ある。この状態では届きません。

1番目に当たる場合は、組み直す場面です。1か月かけて、当たらない選択肢を1つ消したことになります。

暦と連動している方は、単位が変わります。

生理前だけむくむ方では、周期ごとの揺れがあるため3周期続けて判断します。

1周期だけ軽かったのが漢方薬のおかげとは限りません。その月の体調や忙しさでも動きます。

3周期ぶん並べると、山の高さが下がっているかどうかが見えます。体重の増え方を数字で残しておくと、比べやすくなります。

始める前に、3周期は続けると決めておく形が向いています。判断の時期を先に決めておくと、途中で迷いません。

改善症例|タイプを見直して動いた2例

結論: 水を出す方向が合わない場面があります。当薬局で伺った2つのケースをご紹介します。

ケース1:30代女性|冷えが背景にあった

症状: 夕方の足のむくみで水を出す方向の漢方薬を3か月飲んだが変わらないとご相談をいただきました。手足が冷たく、生理痛も重い状態でした。

アプローチ: 冷えて水が動かない形と判断し、血を補いながら温めて水をさばく煎じ薬へ切り替えています。あわせて下半身を冷やさないことをお願いしました。

経過: 4週間で夕方の靴のきつさが変わり、3か月後には朝の体重の変動幅も小さくなりました。水を出す力ではなく、温める側が足りていなかった例です。

ケース2:40代女性|甘草が原因だった

症状: むくみで漢方薬を飲み始めたところ、かえって顔と足がむくみ、体重も2キロ増えたとのご相談でした。

アプローチ: 飲んでいるものを確認すると、むくみ向けの漢方薬に加えて、肩こりで別の漢方薬も飲んでおり、甘草が二重になっていました。甘草を含まない組み立ての煎じ薬へ変更しています。

経過: 3週間でむくみが引き、体重も戻りました。原因はむくみそのものではなく、飲んでいたものだった例です。

よくある質問

Q. むくみに効く漢方薬はどれですか?

A. 1つには決まりません。のどが渇くのに尿が少ないなら五苓散、冷えと生理不順が並ぶなら当帰芍薬散、疲れやすく汗をかきやすいなら防已黄耆湯。体力と冷えの有無で選び分けます。

Q. 水分を減らしたほうがいいですか?

A. 減らさないでください。足りないと体はため込む方向に働きます。同じ量でも、一度に大量ではなくコップ1杯を2時間おきといった形で分けて飲むほうが理にかなっています。

Q. どのくらいで手ごたえが出ますか?

A. 2週間から1か月が目安です。冷え性のなかでは早く動く部類になります。ただし生理前だけむくむ方は、周期ごとの揺れがあるため3周期続けて判断してください。

Q. 漢方薬を飲んだらむくみが増えました。なぜでしょうか?

A. 甘草によるものが疑われます。むくみを取ろうとして飲んだものが原因になる、という逆転は実際に起こります。飲んでいるものに甘草が重複していないかを確かめてください。五苓散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸には入っていません。

Q. 片足だけむくみます。冷えでしょうか?

A. 冷えとして扱う前に、医療機関での確認が要ります。左右で明らかに差がある、押した跡が深く残る、痛みや熱を伴う。こうした形では血管の問題が疑われます。息切れを伴う場合も同じです。

まとめ

むくみに用いる漢方薬は複数あり、体力と冷えの有無で選び分けます。のどが渇くのに尿が少ないなら五苓散、冷えと生理不順が並ぶなら当帰芍薬散、疲れやすく汗をかきやすいなら防已黄耆湯です。

漢方では、水が多いのではなく偏っていると考えます。だから出すだけでは解決しません。冷えて動かないのか、疲れて出せないのか、巡りが滞っているのか。背景によって手の入れ方が変わります。

見落とされやすいのが、甘草によるむくみです。むくみを取ろうとして飲んだ漢方薬が原因になることがあります。五苓散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸には甘草が入っていないため、この点で扱いやすい部類になります。

急に始まった、片足だけ、押した跡が深く残る、息切れを伴う。こうした形では、漢方薬で様子を見る前に確認が要ります。当薬局ではいつむくむか、どこがむくむかを伺ったうえで、体に合わせた煎じ薬をお作りしています。判断に迷ったときは、公式LINEからお気軽にご相談ください。

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執筆者 濵田篤秀(薬剤師)

執筆者:濵田 篤秀

れいわ漢方薬局 渋谷店 薬剤師/博士(医学)

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