「飲み始めて3か月で体重が落ちたという書き込みを見た」「生理痛のために出されたのに、体重まで減ったのはなぜ」。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と体重の話は、相談でも検索でもとてもよく出てきます。
結論: 桂枝茯苓丸は痩せるための漢方薬ではありません。効能又は効果に肥満症という言葉はなく、痩せたという声の多くは、むくみが抜けた・便通が変わった・動けるようになったという別の変化の結果です。
れいわ漢方薬局では、この記事にたどり着く方に必要なのは体重が何キロ落ちるかではなく、自分が減る側の体質かどうかだと考えています。減らない体質の方が飲み続けても、体重は動きません。
本記事では、添付文書に何が書かれているのか、それでも体重が減る三つの経路、減る人と減らない人の違い、そしてツムラ25とツムラ125の使い分けを、相談現場に立つ薬剤師の視点で整理します。
桂枝茯苓丸で痩せたという声は本当か
結論: 体重が減った方が実際にいらっしゃるのは事実です。ただしそれは脂肪が落ちたというより、余分な水が抜けたことによる変化であることがほとんどです。
減っている中身が違う
体重計の数字が減ったとき、減ったものが水か脂肪かで意味がまったく変わります。桂枝茯苓丸で最初に動くのは水のほうです。
たとえるなら、荷物を減らしたのではなく、濡れていた荷物が乾いた状態に近い。数字は確かに落ちますが、体の組成が変わったわけではありません。
実際、飲み始めて2週間で1.5キロ落ちた方が、そのあと3か月まったく動かなかったという経過をたどることがあります。効かなくなったのではなく、水の分が抜けきったところで止まっただけです。
見た目のほうが先に変わる
体重が2キロ動いていなくても、顔まわりや足首が細くなったと言われる方がいらっしゃいます。むくみが抜けると、数字より見た目が先に変わるためです。
体重だけを指標にしていると、この変化を見落とします。指輪が入るようになった、朝の顔まわりがすっきりしたという変化のほうが、数字より早く出ます。体重計に乗る前に、鏡と靴の履き心地を確かめておくと、変化を取りこぼしません。写真を残しておくと、あとから比べられます。
減らない方も同じくらいいる
書き込みや体験談で目にするのは、変化があった方の話です。何も変わらなかった方は、わざわざ書きません。
「3か月飲んでいるのに1グラムも減らない」というご相談も、実際には同じくらいよくいただきます。相談の実感では、体重が動く方と動かない方は半々くらい。分かれ目は次の項目で説明する体質のほうにあります。
体重が動かなかった方でも、生理痛が軽くなったという報告は同じくらいいただきます。何を効果と見るかで、同じ経過がまったく違って見えます。
効能又は効果に痩せるという言葉は無い
結論: 桂枝茯苓丸の添付文書には、肥満症も減量も書かれていません。書かれているのは月経に関わる症状と、のぼせや肩こりです。
添付文書に書かれていること
「比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える次の諸症」。医療用の添付文書には、効能又は効果の冒頭にこう書かれています。
続くのは月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび。体重に関わる言葉は一つも入っていません。
出される場面も体重とは関係ない
医療機関で桂枝茯苓丸が出されるのは、生理痛や更年期の症状に対してです。体重を減らす目的で出されることは、通常ありません。
生理痛で飲み始めた方が体重の変化に気づいて調べ始める、という順序が実際にはいちばん多い形です。「痩せる漢方薬として出されたのだと思っていました」というお声もいただきますが、出した側の意図はほぼ別のところにあります。
書かれていないから効かない、ではない
効能に無いのだから体重には無関係、と思われがちですが、そこまで言い切れるわけでもありません。むくみが取れることは実際に起きますし、その分だけ体重計の数字は動きます。
書かれていないのは、体重を減らす目的で承認されていないという意味です。結果として数字が動くことと、それを目的に使えることは別だと考えてください。
期待の置きどころを先に決める
痩せることを主目的に飲み始めると、たいてい途中でやめることになります。本来の働きどころが別にあるためです。
生理痛や肩こりが軽くなったかどうかを主に見て、体重は副次的なものとして扱うほうが、続けやすくなります。3か月続けたあとで、生理のときに寝込まなくなったかどうかを振り返ります。そこが変わっていれば、体重が動いていなくても続ける意味があります。逆にどちらも変わらないなら、合っていない可能性を考える段階です。
肥満症が効能に入っている漢方薬は別にある
結論: 体重そのものを目的にする場合、効能又は効果に肥満症が明記された漢方薬があります。ただし向く体質がはっきり分かれるため、名前だけで選ぶものではありません。
防已黄耆湯
「色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗のかきやすい傾向のある次の諸症」として、肥満症が効能又は効果に含まれています。防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。
水太りと表現されるタイプ、汗をかきやすく疲れやすい方が対象になります。
階段を上がると汗が噴き出す、夕方には足がむくんで靴がきつい。この2つが揃う方は、桂枝茯苓丸よりこちらのほうが体質に合います。
防風通聖散
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方が対象で、こちらも肥満症が効能に入っています。防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。
体力が充実していることが前提の漢方薬なので、疲れやすい方が使うと下痢で消耗します。市販でも手に入りやすい漢方薬ですが、便通が毎日ある方や、もともと胃腸が弱い方には向きません。おなかの脂肪が厚く、便が2日以上出ないという条件が揃って初めて選択肢に入ります。
桂枝茯苓丸との立ち位置の違い
この2つは体重を目的に選べる漢方薬ですが、桂枝茯苓丸は違います。桂枝茯苓丸が向くのは、滞った血が原因で不調が出ている方です。
体重が減るとしても、それは滞りが動いた結果として付いてくるものになります。目的と結果を取り違えないことが、判断を誤らないための第一歩です。
痩せることを看板にしている漢方薬と、結果として体重が動くことがある漢方薬は、別のものとして扱う必要があります。
体重が減る三つの経路
結論: 桂枝茯苓丸で体重が動く場合、むくみ・便通・活動量のいずれかを経由しています。どれも脂肪を直接燃やす働きではありません。
経路を知ると、自分に当てはまるか分かる
三つの経路のうち、自分に思い当たるものが一つも無ければ、体重はおそらく動きません。逆に二つ以上当てはまるなら、変化が出る可能性は高くなります。三つとは、むくみが抜ける、便通が整う、生理痛が軽くなって動けるようになる、の三つです。どれも体重そのものに働きかけるものではなく、別の変化に付いてくる形で数字が動きます。自分がどれに当てはまるかを先に決めておくと、何を見て判断すればよいかがはっきりします。
以下でそれぞれを見ていきます。
むくみが抜けて減る場合
結論: もっとも多い経路がこれです。骨盤内の流れが戻ると、下半身に溜まっていた水が動き、その分だけ体重が落ちます。
当てはまる方の特徴
夕方になると靴がきつい、靴下の跡が深く残る、朝と夜で体重が1キロ以上違う。このいずれかがあるなら、水の側に余地があります。
反対に、朝と夜で体重がほとんど変わらず、靴下の跡も残らないという方は、水として抱え込んでいる分がありません。この場合は、飲んでも数字は動きません。飲み始める前に一度、夕方の足を見ておくと判断がつきます。
いつ変化が出るか
早い方では14日ほどで、足の重さが変わります。体重に表れるのは、そのあと少し遅れてからです。
朝に測った体重で比べてください。夜の体重は食事と水分の影響が大きく、変化が読めません。起きてトイレを済ませたあと、同じ服装で測ります。日ごとの上下は500グラム前後あるので、1日単位ではなく、7日分の平均どうしで比べると変化が見えます。手帳に書き留めておくと、振り返るときに役立ちます。
抜けきったら止まる
むくみが原因で増えていたぶんが抜けると、そこで数字は止まります。ここからさらに落ちることを期待して飲み続けると、期待外れになります。
止まった時点が、その方にとっての本来の体重だと考えるほうが自然です。
ここから先を落としたい場合は、食事と運動の話になります。漢方薬でできるのは、余分に抱えていた水を戻すところまでです。この線引きをしておくと、続けるかやめるかの判断で迷いません。
便通が変わって減る場合
結論: 滞りが動くと便通が整い、溜まっていたぶんが出ていきます。ただしこの経路で動く数字は小さく、1キロ前後にとどまることがほとんどです。
当てはまる方の特徴
もともと便秘がちで、生理前に特に出にくくなる。この形の方は、飲み始めてから便通が変わることがあります。生理前の3日ほどだけ出にくくなり、その時期を過ぎると自然に戻る。この上下がある方は、滞りが便通に出ているタイプです。毎日きちんと出ている方や、逆に一年中出にくい方は、この経路には当てはまりません。前者は動かす余地がなく、後者は別の原因を先に見る必要があります。
下痢になったら量を見直す
桂枝茯苓丸は流す働きが比較的強い漢方薬です。もともと便がやわらかい方が飲むと、下痢になることがあります。
この場合は量を減らすか、時刻を食後へ移して様子を見ます。下痢で減った体重は、体にとって良い減り方ではありません。
1日3回を2回に減らすだけで収まることがほとんどです。それでも続くようなら、いったん止めて相談する段階になります。水のような便が続く場合は、体重より先に体力のほうが落ちます。
便秘そのものが目的なら別の漢方薬
便秘を主に何とかしたい場合は、便通を目的に作られた漢方薬のほうが確実です。桂枝茯苓丸で便通が変わるのは、あくまで副次的なものになります。便を柔らかくする方向、腸の動きを促す方向、水分を引き込む方向と、便秘に使う漢方薬は狙いどころが分かれています。どこでつまずいているかによって選ぶものが変わるため、便通を主目的にするなら、そちらから選ぶほうが結果が早く出ます。
巡りが戻って動けるようになる場合
結論: 三つ目の経路は間接的です。生理痛や肩こりが軽くなって動けるようになり、その結果として体重が動きます。この経路がいちばん時間がかかります。
痛みがある間は動けない
生理のたびに寝込む方は、月に数日は活動量がゼロに近くなります。年単位で見ると、この差は小さくありません。
痛みが軽くなって普通に過ごせる日が増えると、消費する量が自然に戻ります。
月に3日寝込んでいた方が寝込まなくなれば、年間で36日分の活動が戻ります。運動を新しく始めたわけではないのに、生活の総量が変わるという形です。数字にしにくいところですが、長く見るといちばん大きく効きます。
90日を過ぎてから表れる
この経路は、症状が軽くなったあとに始まります。飲み始めてすぐには動かず、90日を過ぎたころから変化が見え始めます。順番があり、まず生理のときの痛みが軽くなり、次に寝込む日が減り、その結果として動く量が増えます。最後に体重が動くので、飲み始めから数えると4か月から半年ほどかかります。30日で判断すると、この経路は必ず見落とします。
数字に出なくても意味はある
体重が変わらなくても、寝込む日が減っているなら効いています。何を測るかで、効いているかどうかの判断は変わります。
体重、寝込む日の数、鎮痛薬を飲んだ回数。この三つを並べて記録しておくと、体重だけが動いていない状態と、どれも動いていない状態を区別できます。前者は続ける理由があり、後者は見直す合図です。記録は月ごとにまとめるだけで足ります。
どのくらい減るのか|期待の置きどころ
結論: 経路ごとに動く幅が違います。むくみが2キロ前後、便通が1キロ前後、活動量は個人差が大きく読めません。合計しても大きな数字にはなりません。
経路ごとの目安
三つの経路は、動く幅も表れる時期もばらばらです。どれが自分に当てはまるかで、いつ何を見ればよいかが変わります。むくみの経路がいちばん早く、生理の経路がいちばん遅い。この順番を知らないまま30日でやめてしまうと、三つ目が働き始める前に判断したことになります。下の表は、自分がどの経路を待っているのかを確かめるための目安です。
| 経路 | 動く幅の目安 | 表れる時期 | 当てはまる方 |
|---|---|---|---|
| むくみが抜ける | 1〜2キロ | 14日〜30日 | 夕方に足がむくむ |
| 便通が整う | 1キロ前後 | 14日前後 | 生理前に便秘する |
| 動けるようになる | 読めない | 90日以降 | 生理痛で寝込む日がある |
10キロ落ちたという話について
体験談で大きな数字を見かけることがありますが、その多くは食事や運動を同時に変えています。漢方薬だけで起きた変化ではありません。
同時に複数のことを変えると、どれが効いたのか分からなくなります。この点は、書き込みを読むときに差し引いて受け取る必要があります。
数字が大きいものほど、同時に変えたことも多いと考えるほうが実態に近くなります。漢方薬だけを変えた記録は、そもそもあまり多くありません。
減らないことは失敗ではない
むくみが無く便秘もない方は、そもそも減る余地がありません。この場合、体重が動かないのは薬が効いていないからではなく、動かす対象が無いからです。たとえば、もともとむくみが無く便通も毎日ある方が飲んだ場合、体重の欄には何も起こりません。それでも生理痛や肩こりが軽くなっているなら、その方にとっては効いています。体重が動かなかったことを理由に中止すると、効いている部分まで手放すことになります。
痩せる人と痩せない人の違い
結論: 分かれ目は、余分な水と滞りがあるかどうかです。体質が合っていても、減る材料が無ければ数字は動きません。
体質で見分ける
| 見る点 | 減りやすい | 減りにくい |
|---|---|---|
| むくみ | 夕方に足がむくむ | ほとんどむくまない |
| 便通 | 生理前に便秘する | 毎日出ている |
| 生理 | 痛みが強い・塊が出る | 軽い |
| 体力 | 比較的ある | 疲れやすい |
| 顔色 | 赤みが強い・くすむ | 白い |
5項目のうち3つ以上が左側なら、体重が動く可能性があります。右側に寄っている方は、そもそも桂枝茯苓丸が向く体質から外れていることも考えられます。
この5項目は、どれか1つが強く当てはまれば足りるというものではありません。左に3つ以上が揃って初めて、体重が動く見込みが出てきます。1つか2つだけの場合は、動いても数百グラムにとどまることがほとんどです。
体力が無い方には向かない
桂枝茯苓丸は比較的体力がある方向けの組み立てです。疲れやすく、顔色が白く、冷えが強い方が飲むと、だるさが増すことがあります。
このタイプは当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)のように補う側が合います。飲み始めてから、だるさが強くなった、胃がもたれるようになったという変化が出た場合は、体質が合っていない側の合図です。続けて慣れるものではないので、早めに切り替えるほうが体力を落とさずに済みます。
ツムラ25とツムラ125は何が違うのか
結論: 25が桂枝茯苓丸、125が桂枝茯苓丸加薏苡仁です。125は25に薏苡仁という生薬を1つ足したもので、肌の症状が加わったときに使われます。
番号で呼ばれることが多い
医療機関では番号で呼ばれることが多く、25と125を混同したまま調べている方がよくいらっしゃいます。名前が長いぶん、番号のほうが記憶に残るためです。
自分がどちらを飲んでいるかは、薬の説明書か薬袋で確認できます。
25が桂枝茯苓丸、125が桂枝茯苓丸加薏苡仁です。数字が大きいほうに薏苡仁が足されている、と覚えておくと取り違えません。
薏苡仁が加わると何が変わるか
薏苡仁は、肌のできものやいぼに用いられてきた生薬です。これが加わることで、にきびや肌のざらつきに向くようになります。
体重に関しては、25と125で大きな差はありません。どちらも痩せることを目的とした組み立てではないためです。肌の症状が無いのに125を選ぶ理由はなく、逆に生理痛と肌荒れが両方あるなら125のほうが守備範囲が広くなります。体重を基準に選び分ける場面は、実際にはほとんどありません。
どちらを選ぶか
生理痛や肩こりが主なら25、そこに肌の症状が加わるなら125という分け方になります。医療機関で出されている場合は、その判断に従います。
市販で自分で選ぶ場合は、この1か月で肌のできものが気になったかどうかを目安にします。気になっていなければ25で足ります。途中で肌の症状が出てきたら、そこで125へ移るという順番でも間に合います。
逆に太ったと感じるとき
結論: 桂枝茯苓丸そのものに体重を増やす働きはありません。太ったと感じる場合、原因は別のところにあります。
甘草を含まないという事実
体重増加やむくみの原因として名前が挙がるのは甘草ですが、桂枝茯苓丸にこの生薬は入っていません。桂皮・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬の5種類で構成されています。
甘草による偽アルドステロン症を心配して調べている方は、この点で安心できます。むくみや体重増加の副作用を気にして桂枝茯苓丸を避けている方がいらっしゃいますが、その心配はこの漢方薬には当てはまりません。心配する相手を取り違えると、必要のない中止につながります。
別の漢方薬と併用していないか
複数の漢方薬を飲んでいる場合、他方に甘草が入っていることがあります。合計量が増えると、むくみや血圧の上昇として出ることがあります。
飲んでいるものを全部並べて確かめるのが確実です。
市販のかぜ薬や胃腸薬にも甘草が入っていることがあります。漢方薬どうしだけでなく、ふだん飲んでいる市販薬まで含めて並べると、見落としが減ります。1日の合計量が増えていないかを見る形になります。
生理周期による変動と区別する
生理前は水を溜め込みやすく、1キロから2キロは自然に増えます。飲み始めた時期がここに重なると、薬のせいに見えます。
同じ周期の同じ時期どうしで比べると、この誤解は解けます。生理が終わった直後の体重どうしを、月をまたいで並べます。前の周期と今の周期で同じ時期を比べれば、周期による上下を差し引いた変化が見えます。生理前と生理後を比べると、必ず増えたか減ったかの誤った結論になります。
飲み方と判断の期間
結論: 判断は14日と90日の二段構えで見ます。むくみと便通は14日、生理の出方と活動量は90日です。
飲む時刻
食前または食間に、決まった時刻で続けます。胃が弱い方は食後でも構いません。
食間とは、食事と食事のあいだで、前の食事から2時間ほど経ったころを指します。空腹のほうが吸収されやすいという考え方によるものですが、胃に負担を感じるなら食後へ移して構いません。大切なのは時刻を毎日そろえることで、飲む時刻がばらばらだと、変化が出たときに何によるものか読めなくなります。
14日で見るもの
足の重さ、朝と夜の体重差、便通。この三つに変化があれば、水の側は動き始めています。夕方に靴下の跡が浅くなった、朝と夜の差が1キロから500グラムに縮まった、生理前でも便が出るようになった。どれか1つでも動いていれば、続ける価値があります。ここで何も変わらない場合でも、生理痛の経路はまだ判断できる段階にないため、90日までは様子を見る形になります。
90日で見るもの
生理痛の強さ、塊の有無、寝込む日の数。ここが変わってくると、三つ目の経路が働き始めた合図です。
鎮痛薬を飲んだ回数を数えておくと、変化が分かりやすくなります。毎回2錠飲んでいたのが1錠で済むようになった、飲まずに過ごせる月が出てきたという形で表れます。体重より先にこちらが動くので、順番を知っていれば途中でやめずに済みます。
変わらなければ替える
90日続けて、むくみにも生理にも変化が無い場合は、体質の見立てを疑う段階になります。同じものを半年続けても結果は変わりません。見立てを疑うというのは、効かない薬だと決めることではありません。冷えが強い方に流す側の漢方薬を使っていた、水よりも気の滞りが主だった、というように、見るところが違っていた可能性を考えます。その場合は別の組み立てに替えることで、90日で変化が出ることがあります。
体験談を読むときに気をつけること
結論: 書き込みや体験談は参考になりますが、条件が揃っていないまま比べると判断を誤ります。確かめる点は3つです。
同時に何を変えたか
食事、運動、睡眠のどれかを同時に変えていないか。変えているなら、漢方薬だけの効果とは言えません。
飲み始めた時期に、たまたま仕事が落ち着いて睡眠時間が延びていた、ということもあります。体重が動いた理由を1つに決めたくなりますが、同時に3つ変わっていれば、どれがどれだけ効いたのかは分かりません。自分の記録でも、他人の体験談でも、この見方は同じです。
体質が書かれているか
もともとむくみがあったのか、便秘だったのか。ここが書かれていない体験談は、自分に当てはまるか判断できません。むくみがあった方の3キロと、むくみが無かった方の3キロは、まったく別の現象です。前者は水が戻っただけで、後者は生活のどこかが変わっています。書き手の体質が分からないまま数字だけを拾うと、自分には起こらない変化を期待することになります。
期間が書かれているか
2週間の話なのか、1年の話なのかで意味が変わります。期間の記載が無い数字は、比べる材料になりません。
体験談は、条件が近い方のものだけを選んで読むと役に立ちます。すべてを鵜呑みにする必要も、すべてを疑う必要もありません。
体質と期間、そして同時に変えたことの3つが書かれている体験談なら、参考になります。この3つのうち2つが欠けているものは、読み物として受け取るくらいがちょうどよい距離です。
改善症例|体重が動いた例と動かなかった例
結論: 体重が動くかどうかは体質で決まります。以下は当薬局で経過を見せていただいた2例で、片方は動き、片方は動きませんでした。
30代後半|夕方の足のむくみが強かった麻美さん
主訴: 生理痛で桂枝茯苓丸を飲み始めたところ、1か月で体重が2キロ減った。理由が分からず不安になった。夕方に靴がきつく、朝と夜で体重が1キロ以上違っていた。
アプローチ: 減っているのが水であることを説明したうえで、朝の体重だけで記録を取っていただいた。生理痛のほうを主な指標に置き直し、そのまま継続。
経過: 体重は30日目で止まり、そこから動きませんでした。一方で生理痛は90日を過ぎたころから軽くなり、寝込む日が無くなっています。
40代前半|体重を目的に飲み始めた絵里さん
主訴: 痩せると聞いて市販の桂枝茯苓丸を飲み始めたが、3か月で体重が変わらない。もともとむくみは無く、便通も毎日あった。
アプローチ: 減る材料が無い体質であることをお伝えし、体重を目的にするなら別の考え方が要ると整理した。生理前の肩こりが強かったため、そちらを指標に置き換えて継続。
経過: 体重は最後まで動きませんでしたが、肩こりと生理前の頭重が軽くなりました。何を測るかを変えたことで、続ける意味が見えた例です。
よくある質問
Q. 桂枝茯苓丸を飲めば痩せますか?
A. 痩せるための漢方薬ではありません。 効能又は効果に肥満症は入っていません。体重が減る方がいるのは、むくみが抜ける・便通が整う・動けるようになるという別の変化の結果です。
Q. どのくらい体重が減りますか?
A. むくみで1〜2キロ、便通で1キロ前後が目安です。 合計しても大きな数字にはなりません。10キロ落ちたという体験談の多くは、食事や運動を同時に変えています。
Q. ツムラ25とツムラ125はどちらが痩せますか?
A. 体重に関して大きな差はありません。 125は25に薏苡仁を足したもので、肌の症状が加わったときに使われます。どちらも痩せることを目的とした組み立てではありません。
Q. 3か月飲んでも体重が変わりません。続けるべきですか?
A. むくみも便秘も無い方は、減る材料そのものがありません。 生理痛や肩こりが軽くなっているなら続ける意味があります。何も変わっていないなら、体質の見立てを疑う段階です。
Q. 桂枝茯苓丸で太ることはありますか?
A. 体重を増やす働きはありません。 甘草も入っていません。太ったと感じる場合は、他の漢方薬との併用か、生理周期による変動を疑ってください。
Q. 痩せる目的なら何を選べばよいですか?
A. 効能又は効果に肥満症が入っている漢方薬があります。 水太りで疲れやすい方は防已黄耆湯、便秘があってお腹まわりに脂肪がある方は防風通聖散です。どちらも向く体質がはっきり分かれます。
まとめ|減ったのは水か、それとも生活か
桂枝茯苓丸で痩せたという話は嘘ではありません。ただし減っているものの中身を知らないまま飲み続けると、期待と結果がずれていきます。
- 効能の事実: 肥満症も減量も効能又は効果に入っていない
- 減る経路: むくみ・便通・活動量の三つ。脂肪を直接燃やす働きではない
- 動く幅: むくみで1〜2キロ、便通で1キロ前後。それ以上は別の要因
- 減る体質: 夕方にむくむ・生理前に便秘する・生理痛が強い方
- 減らない体質: むくみが無く便通も整っている方。材料が無いだけ
- 25と125: 薏苡仁の有無。体重に関しては大きな差はない
- 判断の期間: 14日でむくみと便通、90日で生理と活動量
- 痩せる目的なら: 防已黄耆湯や防風通聖散のほうが筋が通る
最後にひとつ。体重が動かなくても、生理のたびに寝込む日が減っているなら、その方にとっては十分な結果です。測る指標を体重だけに固定しないほうが、続ける判断を誤りません。
れいわ漢方薬局では桂枝茯苓丸の煎じ薬もご用意しています。むくみの出方と生理の様子をお持ちいただければ、減る側の体質かどうかを一緒に確かめます。


