「あれこれ試したが、どれが効いたのか分からない」「靴下も生姜も湯船も続けているのに変わらない」――冷え性の対策についてのご相談は、当薬局でも一年を通していただきます。
結論からお伝えすると、対策には順番があり、逃がさない・作る・巡らせるの3段階で考えます。この順序を守るだけで、同じ手間でも結果が変わります。
当薬局では、まず何を続けているかを全部書き出していただきます。やっていることが多すぎて、どれが効いているか分からなくなっている方が実際に多いためです。
対策には順番がある
結論: 逃がさない、作る、巡らせる。この3段階で考えると、いま何が足りていないかが見えます。
3段階の中身|逃がさない・作る・巡らせる
服装、入浴、冷たいものを減らす。すでにある熱を逃がさない対策です。
今日から始められて、効果が最も早く出ます。ただし、元の熱が少なければ限界があります。
数日で体感が変わるので、試して差が出るかどうかもすぐ分かります。ここから始めるのが自然な順序です。
ただし、ここだけを積み上げても頭打ちになります。何枚重ねても変わらないという経験は、そこから来ています。
次が、熱そのものを作る段階です。
食事、睡眠、筋肉を増やす。熱を作る材料と工場を整える対策です。
効果が出るまでに1か月から3か月かかりますが、土台になります。
時間がかかるぶん、途中でやめてしまう方が多い段階でもあります。判断の時期を先に決めておくと、迷わずに済みます。
ここが埋まっていないと、次の段階に進んでも動かすものがありません。遠回りに見えて、いちばん確実な部分です。
土台が埋まったら、3つめに進みます。
運動、姿勢、そして漢方薬。作った熱を必要な場所へ届ける対策です。
熱があっても届かなければ意味がないため、末端が冷たい方ではここが要になります。
お腹は温かいのに手足だけが冷たい、という方はここが本命です。作る側はすでに足りています。
動かす対策は、費用がかからないものが多く並びます。歩く、立ち上がる、姿勢を変える。始めるのに準備が要りません。
順序を間違えるとどうなるか
作る対策を飛ばして巡らせようとしても、動かすものがありません。逆に、逃がさない対策だけを積み上げても、元が少なければ足りません。
いま自分がどの段階で止まっているかを見極めるのが、遠回りしないコツです。
見極めるのは難しくありません。お腹を触るだけで、おおよそ分かれます。
ここを飛ばして手当たり次第に試すと、効いたかどうかも読めなくなります。半年かけて振り出しに戻ることがあります。
第1段階|逃がさない対策
結論: 首・手首・足首を守る、腰と下腹部を温める、湯船に浸かる。この3つが最も費用対効果の高い部分です。
首まわりと腰・下腹部|守る場所と温める場所
首・手首・足首は皮膚が薄く、太い血管が通っています。ここを冷やすと全身が冷えやすくなります。
夏の冷房でも、薄手のストールと靴下1枚で体感が変わります。素足にサンダル、くるぶしが出る靴下は避けたい形です。
かさばらないものを選べば、鞄に入れたままにできます。使う日だけ出す形なら、負担になりません。
電車や店内の冷房は、自分では調節できません。持ち込めるものだけが手になります。
覆って守る側とは別に、温めて足す側もあります。
手足を直接温めるより、腰やお腹を温めるほうが末端に届きます。カイロを腰に貼る、腹巻きを使う。
供給元を温めておくと、届く量が増えます。手先を温めるのは、いま届いている分を逃がさない対処にとどまります。
貼る場所は、腰の中央より少し下が向いています。仙骨のあたりを狙うと、下半身全体に届きます。
夏場の冷房が強い場所でも、腹巻き1枚で体感が変わります。
湯船の入り方と、締めつけないこと
シャワーで済ませている方は、週に3日でも湯船に浸かる日を作ると変わります。38度から40度で15分ほどが目安です。
熱すぎる湯は表面だけが温まり、芯まで届きません。42度を超える湯は避けるほうが無難です。
出たあとの冷え方も違います。熱い湯に短く入るより、ぬるめに長く入るほうが持ちます。
時間が取れない日は、足湯だけでも同じ方向です。10分ほどでも差が出ます。
温める一方で、締めつけないことも同じくらい影響します。
靴下を何枚も重ねると、足が締めつけられて流れがさらに落ちることがあります。ゆるめのものを1枚か2枚のほうが、結果的に温かいことがあります。
補正下着やきつい靴も同じです。
脱いだときにゴムの跡がくっきり残るなら、締めつけています。跡が残らない程度のものを選ぶ形が向いています。
厚手の靴下を履くなら、そのぶん余裕のある靴が要ります。サイズをそのままにすると、逆に働きます。
第2段階|作る対策
結論: 食べる量、たんぱく質、朝食、睡眠。材料が足りなければ熱は作れず、どれだけ包んでも追いつきません。
食べる量とたんぱく質|材料が足りているか
極端な食事制限をしている方では、ここが最大の原因になっていることがあります。材料が足りなければ、血も熱も作れません。
体重を落とすために1日1食にしている、糖質を極端に抜いている。こうした習慣がある方は、まずここを見直す価値があります。
2日ぶん書き出してみると、思ったより少ないことに気づく方が多いところです。感覚では、たいてい多めに見積もります。
量が足りていたら、次は中身を見ます。
肉、魚、卵、豆類。どれか1つでも毎食入れると、体を作る材料が揃います。
野菜中心の食事は健康的に見えますが、生野菜ばかりでは体を冷やす方向に働きます。加熱したものを増やすほうが理にかなっています。
サラダを温野菜に変える、汁物に野菜を入れる。同じ量でも、形を変えるだけで向きが変わります。
買い置きしやすいものを決めておくと続きます。卵、豆腐、納豆、サバ缶あたりが使いやすいところです。
朝食と睡眠|体を立て直す時間を確保する
1日の始まりに体を温める材料が入らないと、午前中の冷えが強くなります。温かいものを1品でも摂ると違います。
味噌汁1杯でも構いません。
量ではなく、入れること自体に意味があります。おにぎり1本より、汁物1杯のほうがこの目的には合っています。
抜いた日と食べた日で、午前中の状態を比べてみると分かります。数回試せば、自分に当てはまるかが決まります。
前夜のうちに用意しておくと、朝の負担が減ります。
食べる側と並んで影響するのが、眠る時間です。
睡眠が足りないと、体を立て直す時間が取れません。6時間を切る日が週の半分以上あるなら、そこが変数になっている可能性があります。寝る時刻を早めるより、起きる時刻をそろえるほうが先に効きます。土台が決まると、寝る時刻は後から付いてきます。
30分早めるだけでも、1か月では15時間の差になります。大きく変える必要はありません。
冷えと眠りは互いに影響します。冷えて眠れず、眠れずに冷えるという形に入ることがあります。
筋肉を増やす
筋肉は熱を作る場所です。特に下半身の筋肉は体全体の7割ほどを占めるとされ、ここが減ると作れる熱も減ります。
スクワットを1日10回、階段を使う。この程度でも数か月続けると変わります。
増やすより、減らさないことのほうが先です。年齢が上がるほど、何もしなければ落ちていきます。
回数を増やすより、続く形を選ぶほうが結果につながります。歯を磨くあいだにかかとを上げ下げする、といった置き方でも足ります。
第3段階|巡らせる対策
結論: ふくらはぎを動かす、姿勢を崩さない、緊張をほどく。作った熱を届ける部分です。
ふくらはぎと歩行|下半身から戻す
ふくらはぎの筋肉は、下半身の血を上に戻す働きを担っています。座りっぱなしの時間が長いと、この働きが止まります。
1時間に1回立ち上がる、かかとの上げ下げを20回する。座ったままでもできる方法です。
20回で1分もかかりません。会議中でもできます。
続かない方は、作業の区切りに結びつける形が向いています。時刻を決めるより、行動に紐づけるほうが確実です。
その場でできる動きに加えて、歩く時間もここに乗ります。
歩行は全身の巡りを作ります。週に3日でも続けると、冬の入り方が変わる方がいます。
通勤で1駅分歩く、昼休みに外に出る。まとまった時間を取れない方でも、分けて積み上げられます。
速さより、続くことのほうが先です。息が上がらない程度で足ります。
外に出ると光も浴びられるので、眠りのリズムにも効いてきます。1つの行動で2つの用が済みます。
姿勢と緊張|届く量を落とさない
長時間の前かがみは、下腹部を圧迫して巡りを落とします。デスクワークの方は、椅子と机の高さも見直す価値があります。足の裏が床にしっかりつく高さが目安です。届かない場合は、台を置くだけで変わります。
画面が低いと、自然に前かがみになります。目の高さに近づけると、姿勢のほうも戻ります。
同じ姿勢が続くこと自体も影響します。正しい姿勢でも、動かなければ流れは落ちます。
姿勢と並んで、緊張も届く量を落とします。
ストレスがかかると血管が縮み、末端に届かなくなります。冷えの程度が日によって大きく変わる方は、ここが主な原因になっていることがあります。
深呼吸、入浴、寝る前に考えごとを紙に書き出す。飲むもの以外の手も打てる部分です。
1週間、冷えを感じた場面を書き出すと、偏りがあるかどうかが分かります。特定の相手や時間帯に寄っているなら、当てはまります。
休みの日には気にならない、という方も同じ側です。
始める場所を決めて、対策を3つに絞る
結論: お腹を触って冷たいなら作るところから、温かいなら巡らせるところから。始める場所が決まったら対策は3つまでに絞り、戻る速さを記録して効いたかどうかを確かめます。
お腹を触って確かめる方法
手のひらをへその周りに当て、次に胸のあたりに当てます。お腹のほうが明らかに冷たければ、体の芯から冷えている形です。
お腹が温かいのに指先だけが冷たいなら、届いていないほうの問題になります。
確かめるのは朝いちばんが向いています。入浴や運動のあとは、条件が変わります。
この1回で、力を注ぐ段階が決まります。触るだけなので、費用も時間もかかりません。
お腹の温度で決まる、力を注ぐ段階
作る対策が土台です。食事、睡眠、筋肉。末端だけを温めても続きません。
第1段階の逃がさない対策も並行しますが、力を注ぐのは第2段階になります。
食べる量が足りているかを、まず2日ぶん書き出して確かめる形が向いています。感覚では、たいてい多めに見積もります。
変化が出るまでに1か月から3か月かかります。始める前にこの見通しを持っておくと、途中で迷いません。
逆に、お腹が温かい場合は見る場所が変わります。
巡らせる対策が主になります。運動、姿勢、緊張をほどく。
この場合、食事を増やしても余るだけで、冷えは変わりません。
若い方に多く見られる形です。作る力は残っているのに、末端まで行き渡っていない状態にあたります。
動かす対策は、数週間で体感が変わることがあります。作る側より早く分かるのが利点です。
座っている時間の長さが、いちばん大きな変数になっていることも多いところです。
どちらも冷たいときは、順に広げていきます。
作るところから始めて、動いてきたら巡らせるほうへ広げます。順番を守るほうが早く進みます。
2つ同時に変えると、どちらが効いたのかも読めなくなります。次に判断する材料が残りません。
作る側が動いてきたかどうかは、お腹を触れば分かります。そこが変わってから、次に移る形です。
下の表は、状態ごとに力を注ぐ段階と具体的にすることをまとめたものです。自分に当てはまる行から始めれば足ります。
| 状態 | 力を注ぐ段階 | 具体的にすること |
|---|---|---|
| お腹が冷たい | 作る | 食事の量、たんぱく質、睡眠 |
| お腹は温かく手足が冷たい | 巡らせる | 歩く、ふくらはぎ、姿勢 |
| 両方冷たい | 作る→巡らせる | 順に広げる |
| 日によって差が大きい | 緊張をほどく | 入浴、書き出す、深呼吸 |
やっていることを書き出して3つに絞る
生姜を摂る、湯船に浸かる、靴下を履く、腹巻き、白湯(さゆ)、運動、サプリメント。当薬局でご相談を伺うと、10近く並ぶ方がいらっしゃいます。
多いこと自体は悪くありませんが、何が効いているか分からないまま続けているという状態になります。
続けるほど費用も手間も積み上がります。効いていないものを外せれば、そのぶん楽になります。まず並べるところから始まります。
並べ終えたら、そこから絞ります。
自分の段階に合ったものを3つだけ選び、4週間続けます。動いたら続け、動かなければ入れ替える。
これを繰り返すと、自分に効くものが残っていきます。
3つという数は、実行できる範囲として決めています。10個並べても、どれも中途半端になります。
4週間というのは、日々のばらつきに紛れない長さです。数日では偶然かどうか判断できません。
効いたものを残す|漢方薬もどちらの段階かで選ぶ
冷えは季節でも変動するため、同じ時期で比べる必要があります。夏に始めたものを冬に評価しても、正しく判断できません。記録に気温を添えておくと、この補正ができます。同じ気温の日どうしを並べれば、季節の影響を外せます。
1年ぶんたまると、去年の同じ時期と比べられるようになります。ここまで来ると、判断はかなり確かになります。
それまでは、4週間ごとの比較で足ります。
飲むものも、この段階の考え方にそのまま乗ります。
漢方薬は、作る側にも巡らせる側にもなります。血を補う方向は作る側、巡りをほどく方向は巡らせる側です。
自分の段階に合った方向を選ばないと、飲んでいても変わりません。
作る側が足りない方に巡らせる方向を使うと、動かすものがなくて空回りします。逆の組み合わせでは、余るだけです。
お腹を触って確かめた結果が、そのまま選ぶ方向につながります。ここが最初の分かれ道です。
記録する4項目と、平均で並べて見る方法
- 朝起きたときの手足の冷たさを3段階で
- 一度冷えてから戻るまでのおおよその時間
- その日の最低気温
- その日に実行できた対策の数
3番目を入れるのは、季節の影響を差し引くためです。気温が5度違えば体感も変わります。
最低気温は、天気の記録を見れば後からでも埋められます。書き忘れても取り返せる項目です。
4番目は、対策を続けられているかを見るためのものです。動かない原因が、そもそも実行できていないことにある場合があります。
書き溜めたら、次は読み方です。
冷えは日によって振れます。1日単位で比べると分かりません。
1週間の平均で見ると、戻るまで60分だったものが40分になっているといった変化が拾えます。20分の差は、体感では気づけません。
平均を出すのは、7日ぶんを足して7で割るだけです。手間はかかりません。
1日だけ良かった日、悪かった日に振り回されなくなるのが、この方法の利点です。
平均が出たら、前の期間と並べます。
毎日つけていても、見返さなければ判断材料になりません。4週間ごとに前の4週間と並べ、平均でどう変わったかを見ます。見返す日を決めておくと、忘れずに済みます。月末など、もともとある区切りに合わせる形が向いています。
数字が動いていれば続け、動いていなければ3つのうち1つを入れ替える。判断はこの2択で足ります。
見返すのに5分もかかりません。書くより、見返すほうが省かれやすい部分です。
冷え性対策で効きにくいもの
結論: 生姜を摂れば温まる、汗をかけばよい、厚着すればよい。よく言われる割に、条件付きのものがあります。
生姜と汗|やり方しだいで逆に働くもの
生の生姜と加熱した生姜では、働く方向が違うとされます。体の芯を温めたいなら、加熱したものや乾かしたものが向きます。
生のすりおろしを冷たい飲み物に入れる、という形では意図と逆になることがあります。
味噌汁に入れる、紅茶に入れる、炒め物の下味に使う。加熱する形にすれば、目的と向きがそろいます。
刺激が強いので、胃が弱い方は量を控える形が向いています。1日あたり親指の先ほどまでが目安です。
同じように、汗のかき方でも向きが変わります。
サウナや激しい運動で大量に汗をかくと、その気化熱で体温が奪われます。運動そのものは有効ですが、汗をかいたまま放置するのは逆効果です。
汗を拭いて着替えるまでが1セットです。
着替えを1枚持っていくだけで済みます。準備そのものは1分もかかりません。
夏場は、この形でかえって冷やしている方が多くいらっしゃいます。冷房と重なると、なおさらです。
厚着の限界と、一時的に温まるものの違い
服は逃げる熱を減らす道具で、届く量を増やすものではありません。元の量が少なければ、どれだけ重ねても限界があります。何枚重ねても変わらないという経験は、ここから来ています。道具の問題ではありません。
重ねること自体に意味がないわけではありません。届いた分を逃がさないという役割は果たしています。
ただ、それだけでは足りないという話です。作る側と巡らせる側に手を入れて初めて、重ねた効果が出ます。
重ねるものと同じ扱いになるのが、その場だけ温めるものです。
カイロや湯たんぽは、その場では温まります。ただし、外したら戻ります。
体質としての冷えにくさを作るのは、作る側と巡らせる側の対策です。両方を分けて考えると、期待がずれません。
どちらも要ります。片方だけを責める話ではありません。
カイロを使いながら、同時に作る側を積み上げる。この形なら、今日も楽になり、半年後はもっと楽になります。
季節ごとに変える対策
結論: 夏は冷やさないこと、冬は温めること。同じ冷え性でも、季節で力を入れる場所が変わります。
夏こそ対策が要る|冷やさないためにすること
冷房の効いた場所で長時間過ごす方は、夏のほうが冷えます。薄着で、冷たいものを摂り、汗で体温を奪われる。条件が重なる季節です。
冷え性は冬の話だと思われがちですが、夏に溜め込んだ冷えを冬まで引きずるという流れも珍しくありません。
夏に困っていない方ほど、対策が抜けやすい季節でもあります。困っていないから何もしない、という形です。
秋に不調が出る方は、ここを疑う価値があります。
では夏に何をするかというと、3つで足ります。
首・手首・足首を覆えるものを1つ持ち歩く。冷たい飲み物を常温に変える。シャワーで済ませず湯船に浸かる日を週に3日ほど作る。
この3つで、秋以降の入り方が変わります。
3つ全部でなくて構いません。1つ試して差が出るかを見る形なら、何が効いたのかも分かります。
いちばん取り組みやすいのは、飲み物を常温に変えることです。何も買わずに始められます。
秋に記録を始め、冬は中心を守り、春は戻りに注意する
気温が下がり始めると、体が追いつかないことがあります。夏に冷えを溜め込んだ方ほど、この時期に不調が出ます。
対策の効果を測るなら、この季節から始めるのが向いています。冬に向けて悪化するのか、保てるのかが見えます。
気温が下がっていく時期なので、同じ状態を保てているだけでも前進です。ここを見誤ると、効いていないと判断してしまいます。
最低気温を一緒に書いておく理由が、ここにあります。
冬に入ったら、温める場所を体の中心へ寄せます。
腰と下腹部を冷やさないことが要点です。カイロを腰に貼る、腹巻きを使う。末端だけを温めるより、こちらのほうが全身に効いてきます。手足が冷たいと、つい手袋や靴下に手が伸びます。ただ、届く量を増やすのは中心を温めるほうです。
室内でも、床からの冷えは残ります。スリッパやマットを1つ足すだけで変わります。
毎冬しもやけができる方は、10月ごろから始めると間に合うことが多くあります。
春は、やめどきを間違えやすい季節です。
気温の上下が激しく、急に薄着にすると戻ることがあります。暖かくなったから大丈夫と判断して対策をやめるのは、この時期に限っては早すぎることがあります。
気温の上下が大きいぶん、体のほうが追いつきません。自律神経に負荷がかかる時期でもあります。
記録を続けていれば、この時期に戻っているかどうかが分かります。感覚だけでは、暖かさに引きずられます。
続ける期間の目安と、漢方薬を足す時期
結論: 逃がさない対策は数日、作る対策は1か月から3か月、巡らせる対策は3か月から6か月。生活側を2か月動かして変わらないなら、飲むものを足す時期になります。
段階で時間軸が違う|冬をまたいで判断する
服装や入浴を変えれば、数日で体感が変わります。一方、筋肉や食事で作る側を変えるには数か月かかります。
短期で結果が出るものと出ないものを混ぜて評価すると、判断を誤ります。
数日で動くものを4週間で判断するのは構いませんが、数か月かかるものを4週間で見限ると取り逃がします。
3つに絞るときも、時間軸の違うものを混ぜすぎない形が向いています。
そのぶん、答え合わせの時期は先へずれます。
冷え性は季節で変動するため、夏に始めた方は翌シーズンが判断の場になります。
しもやけができるかどうかは、冬にならないと分かりません。
判断が1年先になるぶん、途中の目安が要ります。戻る速さと、しもやけの有無を分けて見る形です。
毎冬できていたものができなかった、というのは分かりやすい結果です。記憶にも残ります。
3か月で何も動かないとき
段階の見立てが違っているか、対策が分散しすぎているか、生活側で打ち消しているか。この3つを確かめます。
冷たいものを毎日摂りながら温める対策を積み上げるのは、綱引きをしているようなものです。
多いのは2番目です。10近く並べていると、どれも中途半端になります。3つに絞り直すところから始まります。
1番目に当たる場合は、お腹を触るところからやり直す形です。
2か月動かして変わらないなら、方向を選んで足す
食事、睡眠、運動を変えずに漢方薬だけを足しても、打ち消し合うことがあります。まず生活側で動かせる部分を動かすほうが、判断も明確になります。
生活側を変えないまま飲み始めると、効いたかどうかも読めません。同時に2つ変えると、そこが分からなくなります。
ただし、生活側を完璧にしてから、という意味ではありません。3つ動かせていれば足ります。
では、どのくらいで判断するかという話になります。
生活側の対策を3つに絞って2か月続け、記録を並べます。動いていなければ、飲むものを足す段階です。2か月というのは、作る側の対策が形になり始める時期です。それより短いと、判断が早すぎます。
動いていれば、そのまま続ければ足ります。飲むものを足す必要はありません。
一部だけ動いている場合は、動いていない部分に絞って足す形もあります。全部を一度に扱う必要はありません。
足すと決めたら、次は方向を選びます。
作る側が足りないなら血を補う方向、巡らせる側が足りないなら滞りをほどく方向。ここを外すと、飲んでいても変わりません。
方向が逆だと、効かないだけでなく体調を崩す側に振れることもあります。増やす前に、選び直す判断です。
お腹を触って確かめた結果を、そのまま伝えれば足ります。相談の場でも、そこから始まります。
飲み始めたあとも、生活側は止めません。
漢方薬を始めたからといって、生活側をやめる必要はありません。むしろ両方が揃っているほうが早く進みます。
あわせて、飲み始めた日を記録に残しておくと、後で何が効いたかを切り分けられます。
漢方薬を始めると、生活側が緩みやすくなります。そこで打ち消し合うと、動かない原因が読めません。
記録に飲み始めた日を1行入れておくだけで、あとから振り返れます。
改善症例|順番を変えて動いた2例
結論: 対策そのものより、順番や絞り込みが結果を変えることがあります。当薬局で伺った2つのケースをご紹介します。
ケース1:30代女性|対策が多すぎた
症状: 冷え性の対策を10近く続けているが変わらないとご相談をいただきました。生姜、白湯、腹巻き、靴下、サプリメント、半身浴などです。
アプローチ: お腹を触ると冷たく、作る段階が足りていないと判断しました。食事を伺うと1日1食でした。対策を食事・睡眠・血を補う煎じ薬の3つに絞り、他はいったん外していただいています。
経過: 6週間で顔色が変わり、4か月後には手足が戻る速さも変わりました。対策が足りなかったのではなく、必要な段階に当たっていなかった例です。
ケース2:40代女性|動かす対策が抜けていた
症状: 食事も睡眠も整えているのに、足だけが冷たいとのご相談でした。お腹を触ると温かい状態でした。
アプローチ: 作る側は足りており、巡らせる側が抜けていました。デスクワークで1日8時間以上座っていると伺い、1時間ごとのかかと上げと1日20分の歩行を加えています。あわせて巡りをほどく方向の煎じ薬を組みました。
経過: 3週間で夕方の足の重さが変わり、3か月後には冷たさも軽くなりました。作る対策を積み増しても届かなかった例です。
よくある質問
Q. 対策は何から始めればいいですか?
A. お腹を触って冷たいかどうかで分かれます。冷たければ食事と睡眠から、温かければ運動と姿勢から始めてください。手のひらをへその周りに当て、次に胸のあたりに当てて比べます。ここが最初の分岐点です。
Q. いくつも試していますが、どれが効いているか分かりません。どうすればいいですか?
A. 3つに絞ってください。自分の段階に合ったものを3つだけ選び、4週間続けます。動いたら続け、動かなければ入れ替える。これを繰り返すと、自分に効くものが残っていきます。
Q. 生姜を毎日摂っていますが変わりません。なぜでしょうか?
A. 形によって働く方向が違います。体の芯を温めたいなら、加熱したものや乾かしたものが向きます。生のすりおろしを冷たい飲み物に入れる形では、意図と逆になることがあります。あわせて、生姜だけで体質が変わるものでもありません。
Q. どのくらい続ければ判断できますか?
A. 段階によります。服装や入浴を変えれば数日で体感が変わります。食事や筋肉で作る側を変えるには1か月から3か月、巡らせる側は3か月から6か月かかります。短期で結果が出るものと出ないものを混ぜて評価すると、判断を誤ります。
Q. 漢方薬はいつ足せばいいですか?
A. 生活側の対策を3つに絞って2か月続け、動いていなければ足す時期です。順番としては後になりますが、早く始めていけないわけではありません。ただし、飲むものだけを足して生活側が変わらないと、打ち消し合うことがあります。
まとめ
冷え性の対策には順番があります。逃がさない、作る、巡らせるの3段階です。いま自分がどの段階で止まっているかを見極めるのが、遠回りしないコツになります。
分岐点は単純です。手のひらをへその周りに当て、胸のあたりと比べる。お腹が冷たければ作るところから、温かければ巡らせるところから始めます。
対策が多すぎて何が効いているか分からない、という方は少なくありません。自分の段階に合ったものを3つだけ選び、4週間続けて記録を並べる。動いたら続け、動かなければ入れ替える。これを繰り返すと、自分に効くものが残っていきます。
漢方薬も、作る側と巡らせる側のどちらかに位置します。段階に合った方向を選ばないと、飲んでいても変わりません。当薬局では続けている対策を全部伺ったうえで、体に合わせた煎じ薬をお作りしています。何から始めるか迷ったときは、公式LINEからお気軽にご相談ください。


