「靴下を何枚重ねても足が冷たい」「お腹は温かいのに、指先だけが氷のよう」――末端冷え性についてのご相談は、当薬局でも冬に限らずいただきます。
結論からお伝えすると、末端冷え性は温める力の不足ではなく、届ける力の問題であることが多くあります。体の芯には温かさがあるのに、末端まで運べていない状態です。
当薬局では、お腹を触って温かいかどうかを最初に伺います。ここが温かいなら、芯を温める漢方薬を飲んでも手足には届きません。
末端だけが冷える理由と、芯は温かいか冷たいか
結論: 手足は心臓から最も遠く、体温を保つ優先順位が最も低い場所です。だから最初に切り捨てられます。次の分岐点はお腹で、温かければ届ける力の問題、冷たければ温める力の問題になります。
体は内臓を優先する|心臓から遠く、表面積も大きい
寒さにさらされたとき、体は内臓の温度を守ることを優先します。手足の血管を縮め、そこへ流れる血を減らして、中心の温度を保つ仕組みです。
末端が冷たいのは、体が正しく働いている結果でもあります。問題は、この状態が常態化していることです。
寒い場所から戻れば元に戻る、というのが本来の形です。戻らないまま続いているところが違います。どれくらいで戻るかを見ると、その差が分かります。
位置の問題も重なります。
指先は心臓から最も遠く、細い血管の先にあります。少し流れが落ちるだけで、届く量が大きく減ります。
同じ量の血が減っても、内臓では気づかない差が、指先では明らかな冷たさになります。
だから、指先の冷たさは体全体の状態を早く映します。ほかの場所より先に出るということです。
手足が冷たいという訴えを、末端だけの問題として扱わない理由がここにあります。
3つめは、形そのものの条件です。
手足は体積の割に表面積が大きく、熱を逃がしやすい形をしています。指は5本に分かれているため、なおさらです。
温めてもすぐ冷めるのは、この構造によります。
手袋よりミトンのほうが温かいのも、同じ理由です。分けないほうが逃げにくくなります。
ただし、逃がさない工夫だけでは限界があります。届く量そのものを増やす側にも手が要ります。
自分で確かめる方法|芯が温かい場合
手のひらをへその周りに当て、次に胸のあたりに当てます。お腹のほうが明らかに冷たければ、体の芯から冷えている形です。
お腹が温かいのに指先だけが冷たいなら、届いていないほうの問題になります。
確かめるのは朝いちばんが向いています。入浴や運動のあとは、条件が変わります。
この1回で、選ぶ方向が決まります。ここを飛ばして温める漢方薬を選ぶと、当たらないことがあります。
触ってみて、中が温かかったとします。
血が足りないか、巡りが滞っているかのどちらかです。温める漢方薬を飲んでも、供給元は足りているので変わりません。
届ける側に手を入れる必要があります。この記事で扱うのは主にこの形です。
若い方に多く見られる形です。芯を温める力は残っているのに、末端まで行き渡っていない状態にあたります。
温める漢方薬を飲んでのぼせた、という経験がある方も、この側の可能性があります。
芯も冷たい場合|どちらとも言えない場合
温める力そのものが落ちています。手足だけを温めても続きません。
この場合は、芯から温める方向が土台になります。年齢とともに増える形です。
夜中にトイレで起きる、下痢しやすい、腰が重い。この3つが並ぶなら、こちらに寄ります。
若いころは冷え性ではなかったのに、という方も同じ側です。冷える場所が手足から腰やお腹に移っていれば、タイプが変わっています。
はっきり分かれない方もいらっしゃいます。
芯も冷たく、末端はさらに冷たい。まず芯から温めて、届ける側は後から手を入れます。
順番を間違えると、どちらも中途半端になります。
2つ同時に変えると、どちらが効いたのかも読めなくなります。次に判断する材料が残りません。
芯が温まってきたかどうかは、お腹を触れば分かります。そこが動いてから、届ける側に移る形です。
決めるのに時間をかけるのは、遠回りではありません。
届いていない2つの理由
結論: 運ぶものが足りないのか、道が細くなっているのか。どちらかで選ぶ漢方薬が変わります。
運ぶものが足りない/道が細くなっている
血が足りず、末端まで温かさを運べていない状態です。顔色が悪い、爪が割れやすい、髪が細い、立ちくらみがする。
しもやけができやすいのが最大の目印になります。血が届いていない部分に起こるためです。
生理の量が少ない、色が薄いという方も同じ側に寄ります。血が足りているかどうかは、ほかの場所にも出ています。
検査で貧血を指摘されていなくても、蓄えが減っていることがあります。
もう一方は、通り道のほうの問題です。
血はあるのに、流れが滞っている状態です。顔色がくすむ、生理痛が重い、経血に塊が混じる、肩こりがひどい。
そして、手足は冷たいのに顔はほてるという上下の差が出ます。
舌の裏の血管が太く、暗い紫色をしているかどうかも手がかりになります。朝いちばんに鏡で見ると分かります。
目の下のクマができやすいという点も同じ側です。当てはまる数が多いほど、確からしくなります。
見分けが結果を変える|両方が重なることも多い
前者に巡らせる漢方薬を使っても、運ぶものがありません。後者に補う漢方薬を使うと、滞りが増して重くなります。
同じ末端冷え性でも、選ぶものが正反対になります。
効かなかったという経験がある方は、量ではなく方向を疑う場面です。増やしても届きません。
見分けるのに検査は要りません。しもやけができるか、顔がほてるか。この2つを聞けば、おおよそ分かれます。
きれいに片方だけとは限りません。
血が足りていて、なおかつ滞っている。この形は実際によく見られます。煎じ薬であれば、補う側と巡らせる側の比重を調整できます。
既製品を選ぶ場合は、濃いほうから始める形になります。両方に当てはまっても、同時に2つ飲む必要はありません。
どちらが濃いかは、症状の強さで決めます。しもやけができるなら足りない側、顔がほてるなら滞っている側です。
季節で入れ替わる方もいらっしゃいます。
末端冷え性に用いられる漢方薬
結論: 血を補いながら温める系統と、滞りをほどく系統。この2つが軸になり、どちらを選ぶかは目印で決まります。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯と当帰芍薬散
末端の冷えに用いられる代表的な漢方薬です。当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)と読みます。
効能効果には冷え症が明記されており、手足の冷えが強く、しもやけができやすい方に選ばれます。当帰が血を補い、呉茱萸と生姜が温める力を足した組み立てです。
同じ補う方向でも、目印が違うものがあります。
冷えに加えて、むくみや生理不順がある方に向かいます。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は血を補いながら水をさばく組み立てです。
顔色が青白く、疲れやすく、めまいや立ちくらみが並ぶ形が典型になります。
甘草が入っていないので、ほかの漢方薬と重ねても量が増えません。併用しやすい部類です。
補う方向なので、たまるまでに時間がかかります。1か月で見限らず、3か月を見ておく形が向いています。
桂枝茯苓丸と加味逍遙散
血の滞りに向かう漢方薬です。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の効能効果には、のぼせて足冷えなどを訴えるものという条件が入っています。
手足は冷たいのに顔はほてる、という上下の差がある方に選ばれます。
動かす働きが強いぶん、支える力が要ります。痩せ型で疲れやすい方には負担が大きくなります。
見分けの目安は、日中に動けているかと、食事が摂れているかです。この2つが保たれていれば、体力の側に入ります。
滞りのほうにも、2つの選択があります。
ストレスがかかると冷えるという方に向かいます。加味逍遙散(かみしょうようさん)は気の巡りの詰まりとこもった熱に向かう漢方薬です。
冷えの程度が日によって大きく変わるなら、この系統が候補になります。
休みの日には気にならない、という方も同じ側です。ほかのタイプは、休んでいても冷えたままです。
下の表は、4つの候補を向く形と目印で見比べたものです。目印の欄から見ると、当たりが早く付きます。
| 漢方薬 | 向く形 | 目印 |
|---|---|---|
| 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 | 血が足りず末端が冷える | しもやけができる |
| 当帰芍薬散 | 血が足りず、むくみもある | 顔色が青白い、めまい |
| 桂枝茯苓丸 | 血が滞っている | 顔はほてるのに足は冷たい |
| 加味逍遙散 | 緊張で冷える | 日によって差が大きい |
靴下を重ねても変わらない理由と、改善までの期間
結論: 外から温めるのは、逃げる熱を減らす対処です。届く量が増えるわけではありません。変化は冷たさそのものより戻る速さに先に出ますが、記録がなければ気づけません。
保温と加温は別|締めつけると逆効果
靴下や手袋は、いま届いている熱を逃がしにくくする道具です。届く量そのものは変わりません。
元の量が少なければ、どれだけ包んでも限界があるということです。何枚重ねても変わらないという経験は、ここから来ています。
包むことに意味がないわけではありません。届いた分を逃がさないという役割は果たしています。
ただ、それだけでは足りないという話です。届ける側にも手を入れて初めて、重ねた効果が出ます。
重ねること自体が、裏目に出る場合もあります。
靴下を何枚も重ねると、足が締めつけられて流れがさらに落ちることがあります。ゆるめのものを1枚か2枚のほうが、結果的に温かいことがあります。
靴のサイズも同じです。厚手の靴下を履くなら、そのぶん余裕のあるものが要ります。
脱いだときに、ゴムの跡がくっきり残るなら締めつけています。跡が残らない程度のものを選ぶ形が向いています。
手袋も同じで、指先がきついものは避ける側です。
動かすほうが届く|温めるなら中心から
外から包むより、内側から流れを作るほうが効きます。かかとの上げ下げ、足指をグーパーする、1時間に1回立ち上がる。
ふくらはぎの筋肉は、下半身の血を上に戻す働きを担っています。ここが動かないと、流れは戻りません。
座ったままかかとを上げ下げするだけでも、この筋肉は動きます。周りに気づかれずにできる方法です。
まとめて運動するより、こまめに動くほうがこの目的には合っています。
外から当てるなら、場所を変えます。
手足を直接温めるより、腰やお腹を温めるほうが末端に届きます。カイロを腰に貼る、腹巻きを使う。
供給元を温めておくと、届く量が増えます。
貼る場所は、腰の中央より少し下が向いています。仙骨のあたりを狙うと、下半身全体に届きます。
手足を直接温めても、外した途端に戻ります。中心を温めるほうが、外したあとも持ちます。
夏場の冷房が強い場所でも、腹巻き1枚で体感が変わります。
戻る速さを見る|期間の目安と、動かないときの確かめ方
以前は一度冷えると1時間戻らなかったのが、20分で戻るようになる。この変化が最初に出ます。
冷たいかどうかだけを見ていると、この段階に気づけません。記録がないと拾えない変化です。
測り方は、冷えを感じた時刻と、気にならなくなった時刻を書くだけで足ります。
冷たいかどうかは、その日の気温に引きずられます。戻る速さのほうが、体の状態を映しています。
どのくらいで拾えるのかという話になります。
2週間から1か月で戻る速さが変わり、3か月から6か月で冷えにくさが定着してくる、というのが実際の経過です。当薬局のご相談でも、4週間の時点で戻る速さの変化を挙げられる方が6割ほどを占めます。
冬をまたいで初めて判断できる、という場面もあります。
始める前に、この見通しを持っておくと途中で迷いません。1か月で見限る方が多いのが惜しいところです。
年をまたいで判断するものもあります。
しもやけができるかどうかは、冬にならないと分かりません。夏から飲み始めた方は、翌シーズンが判断の場になります。
当薬局でも、この目標を最初に共有するようにしています。
判断が1年先になるぶん、途中の目安が要ります。戻る速さと、しもやけができるかどうかを分けて見る形です。
毎冬できていたものができなかった、というのは分かりやすい結果です。記憶にも残ります。
それでも変わらない期間が続いたときは、見る場所があります。
見立ての方向、飲む量と回数、生活側の要因の3つを確かめます。特に、冷やす習慣が続いていないかは見落とされやすい部分です。多いのは2番目です。1日3回のところを1回しか飲んでいない、飲み忘れが週の半分ある。この状態では、方向が合っていても届きません。
3番目では、氷入りの飲み物と薄着が代表です。温める漢方薬を飲みながら冷やしていると、綱引きになります。
1番目に当たる場合は、組み直す場面です。
生活側でできること|5つの手順
結論: 動かす、温める場所を変える、冷やす習慣を減らす、材料を摂る、締めつけない。この順で見直します。
順番に確かめる5つ|湯船に浸かる
- 1時間に1回立ち上がり、かかとの上げ下げを20回する
- 温める場所を手足から腰と下腹部に変える
- 冷たい飲み物を常温か温かいものに変える
- 毎食たんぱく質をどれか摂る
- 靴下や手袋がきつくないか確かめる
1番と2番は今日から始められて、効果が見えやすい部分です。
5つ全部でなくて構いません。1つずつ試して、差が出るかを見る形なら、何が効いたのかも分かります。
手をつけやすいのは、入浴のほうです。
シャワーで済ませている方は、週に3日でも湯船に浸かる日を作ると変わります。38度から40度で15分ほどが目安です。冬場でも42度を超える湯は避けるほうが無難です。
熱すぎる湯は表面だけが温まり、芯まで届きません。
出たあとの冷え方も違います。熱い湯に短く入るより、ぬるめに長く入るほうが持ちます。
足湯だけでも同じ方向です。時間が取れない日は、そちらで代えられます。
朝食を抜かない|足首を守る
1日の始まりに体を温める材料が入らないと、午前中の冷えが強くなります。朝食を抜く習慣がある方では、ここが最大の変数になっていることがあります。
温かいものを1品でも摂ると違います。
味噌汁やスープが向いています。おにぎり1本より、汁物1杯のほうがこの目的には合っています。
抜いた日と食べた日で、午前中の状態を比べてみると分かります。数回試せば、自分に当てはまるかが決まります。
着るものの側にも、押さえどころがあります。
首・手首・足首は皮膚が薄く、太い血管が通っています。ここを冷やすと全身が冷えやすくなります。
素足にサンダル、くるぶしが出る靴下は、夏場の冷えの原因になります。
夏場のほうが冷やしている、という方は実際に多くいらっしゃいます。冷房の効いた場所に長くいるためです。
ストール1枚、薄手の靴下1足を持ち歩くだけで変わります。かさばらないので、続けやすい対策でもあります。
冷えを感じる場所で分ける
結論: 手だけ、足だけ、両方。どこが冷えるかで背景が少しずつ違い、手を入れる場所も変わります。
手だけが冷たい/足だけが冷たい
緊張やストレスで冷えることが多い形です。人前に出ると手が冷たくなる、会議の前だけ冷えるという方が該当します。1日のうちでも、時間帯によって差がはっきり出ます。
日によって差が大きいのが特徴で、気の滞りが背景にあると考えます。
手のひらに汗をかきながら冷たい、という形も出ます。温める方向では動かない部分です。
1週間、冷えを感じた場面を書き出すと、偏りがあるかどうかが分かります。
下だけに出る方もいらっしゃいます。
下半身の巡りが落ちている形です。座りっぱなしの時間が長い方、運動不足の方に多く見られます。
夕方に足がむくむという訴えが並ぶことも多く、水の滞りが重なっている場合があります。
すねを押して跡が残るかどうかで、水が溜まっているかは確かめられます。夕方に見るのが分かりやすいところです。
動く時間を増やすのが、いちばん直接的な手になります。1時間に1回立ち上がる形から始まります。
手も足も冷たい/太ももやお尻まで冷たい
血が足りないか、温める力が落ちているかのどちらかです。お腹を触って冷たければ後者、温かければ前者になります。この1回で、選ぶ方向が決まります。触るだけなので、費用も時間もかかりません。
確かめるのは朝いちばんが向いています。入浴や運動のあとは、条件が変わります。
年齢が上がるほど、後者の割合が増えます。若いころは冷え性ではなかったという方は、こちらを先に疑う形です。
範囲がもっと広い方もいらっしゃいます。
下半身全体が冷たく重い。腰が水に浸かっているように感じるという訴えもあります。
この形では、下半身に絞って冷えを扱う漢方薬が候補になります。
腰が重い、夜中にトイレで起きるという点も同じ側に並びます。年齢とともに増える形です。
手足だけを温めても届きません。腰と下腹部を温める形が土台になります。
座っている時間が長い方は、そこも重なります。動く時間を増やすと、そのぶん変わります。
一緒に出やすい不調と、職場や外出先でできること
結論: しもやけ、あかぎれ、爪の変化、眠りの浅さ。末端の冷えと同時に出ることが多い症状です。家で対策できても、日中を過ごす場所で冷えていては追いつきません。
しもやけ/あかぎれ・ひび割れ
血が届いていない部分に起こります。末端冷え性で最も分かりやすい目印で、できるかどうかがタイプの手がかりになります。
毎冬できる方は、冬になる前から手を打つほうが早く済みます。10月ごろから始めると、間に合うことが多くあります。
できてから対処するより、できないようにするほうが楽です。できた後は、治るまでに時間がかかります。毎年同じ指にできる方は、そこが最も届いていない場所ということになります。
皮膚の側には、もう1つ出やすい形があります。
皮膚に栄養が届かないと、乾燥して割れやすくなります。保湿だけでは追いつかない方は、内側からの巡りも見る価値があります。塗るものを変えても変わらない、という段階が目安です。外側で足りているなら、そこで済みます。
水仕事が多い方は、そちらの影響も重なります。手袋を1組用意しておくだけで変わることがあります。
割れてしまってからは、外側の手当てが先です。内側は、次のシーズンに向けた話になります。
爪が割れる・線が入る/眠りの浅さ
爪も血が届いて作られるものです。爪の状態は数か月前の体を映しているため、変化が遅れて出ます。
逆に言えば、いま良くなり始めていても、爪に出るのは数か月先です。ここだけを見て判断すると、早すぎることになります。
伸びる速さは1か月に3ミリほどです。根元から先まで生え替わるのに、半年前後かかります。
写真に残しておくと、あとから比べられます。感覚より確かな材料になります。
見た目に出ないものもあります。
足が冷えていると、寝つきにくく夜中に目が覚めやすくなります。靴下1枚で変わる方もいます。
あわせて、寝る前に足湯をするだけで寝つきが変わったという声も伺います。
足湯は、寝る30分ほど前が向いています。上がった体温が下がるところで眠くなるためです。
靴下を履いて寝る場合は、締めつけないものを選びます。きついと、かえって流れが落ちます。
足元の環境を見る|1時間に1回動く、温かい飲み物、服の選び方
デスクの下に冷気が溜まっている、床が冷たい、エアコンの風が直接当たる。座っている時間が長い方は、ここが最大の変数になっていることがあります。
小さなブランケット、足元のマット、スリッパ。持ち込めるものだけでも体感が変わります。
冷たい空気は下に溜まります。上半身が快適でも、足元だけ数度低いということが起こります。
温度計を足元に置いてみると、思ったより低いことに気づきます。
座り続けている時間も響きます。
長時間同じ姿勢でいると、下半身の流れが止まります。トイレに立つ、給湯室まで歩く。理由は何でも構いません。
座ったままかかとを上げ下げするだけでも、ふくらはぎは動きます。周りに気づかれずにできる方法です。
20回で1分もかかりません。会議中でもできます。
続かない方は、時計や作業の区切りに結びつける形が向いています。時刻を決めるより、行動に紐づけるほうが確実です。
口から入れるものでも変わります。
冷たい飲み物を常温か温かいものに変える。それだけでも午後の冷え方が変わることがあります。
冬でも氷入りの飲み物を選んでいないか、一度振り返ってみてください。
手元に温かい飲み物を1つ置いておくと、自然に選べます。選択肢がなければ、冷たいほうを選ぶことになります。
温める漢方薬を飲みながら冷たいものを摂っていると、綱引きになります。どちらか一方に寄せるほうが、結果は早く出ます。
着るものの選び方にも、押さえどころがあります。
首・手首・足首を覆えるものを1つ持っておくと、冷房の強い場所で助かります。夏場のストールや薄手の靴下がこれにあたります。かさばらないものを選べば、鞄に入れたままにできます。使う日だけ出す形なら、負担になりません。
電車や店内の冷房は、自分では調節できません。持ち込めるものだけが手になります。
夏場に冷やした分が、秋以降に響くこともあります。季節に関係なく続ける価値のある対策です。
手足の色が変わる場合
結論: 白くなってから紫や赤へ変わる、痛みを伴う。こうした形は医療機関での確認が先になります。
色の変化がはっきりしている/痛みや傷を伴う
寒いところで指先が真っ白になり、その後に紫、赤へと変わる。この形は、単なる冷え性とは別に扱われることがあります。白から紫、そして赤という順で変わるのが特徴です。ただ冷たいだけではなく、色がはっきり分かれます。
冷たい水に触れた直後や、冷蔵庫を開けたときに起こることもあります。心当たりがあれば、確かめる価値があります。
写真に撮っておくと、伝えるときに役立ちます。その場でしか見られないためです。
2つめは、痛みが並ぶ場合です。
冷えに加えて強い痛みがある、指先に傷ができて治りにくい。血管の問題が疑われる形です。
冷え性の痛みは、温めれば和らぐのが普通です。温めても変わらない痛みは、別のものとして扱います。
傷が治りにくいというのも同じです。届く量が足りていないと、修復が進みません。
この2つが並ぶ場合は、漢方薬で様子を見る前に確かめる場面になります。時間が過ぎるほど、判断が遅れます。
片側だけが冷たい|確認を受けたうえで併用する
左右で明らかに差がある、片方の足だけが冷たい。歩くと痛くなって休むと治るという症状が並ぶ場合は、特に確認が要ります。冷え性は、左右そろって出るのが普通です。片側だけというのは、そこに理由があることを示します。
触って比べれば、その場で分かります。同じ条件で、同じ時間触るだけで足ります。
歩ける距離が短くなってきたという変化があれば、なおさら確かめる場面です。
調べたあとで、併せる形にします。
検査で何かが見つかった場合でも、漢方薬を併せることはできます。治療を土台にしたうえで、残っている冷えに使うという形です。どちらか一方を選ぶ性質のものではありません。見ている場所が違うので、両方から手を入れるほうが早く進みます。
飲んでいるものは、治療を受けている医療機関にも伝えておく形が確実です。お薬手帳に書いておけば済みます。
異常がないと分かった場合も、そこで終わりではありません。残った冷えをどう扱うかという段階に進みます。
改善症例|届ける側に手を入れた2例
結論: 温めても変わらなかった方の多くは、届ける側に原因があります。当薬局で伺った2つのケースをご紹介します。
ケース1:30代女性|芯は温かかった
症状: 手足の冷えで温める漢方薬を4か月飲んだが変わらないとご相談をいただきました。お腹を触ると温かく、しもやけができやすいとのことでした。
アプローチ: 芯は温かく、届ける側の問題と判断しました。血を補いながら末端まで運ぶ方向の煎じ薬へ切り替え、かかとの上げ下げを日課にしていただいています。
経過: 5週間で冷えてから戻る速さが変わり、翌シーズンにはしもやけができませんでした。温める方向が足りなかったのではなく、届ける側を扱っていなかった例です。
ケース2:50代女性|上下の差が大きかった
症状: 足が冷たいのに顔はほてるという状態で、温める漢方薬を飲むとのぼせが増すとのご相談でした。生理は終わりかけの時期でした。
アプローチ: 血が滞っている形と判断し、巡りをほどく方向の煎じ薬へ変更しています。あわせて、温める場所を足元から腰に移していただきました。
経過: 3週間でのぼせが軽くなり、4か月後には足の冷たさも変わりました。温めることが悪かったのではなく、温める場所と順序が違っていた例です。
よくある質問
Q. 靴下を重ねても足が冷たいのはなぜですか?
A. 靴下は逃げる熱を減らす道具で、届く量を増やすものではないためです。元の量が少なければ、どれだけ包んでも限界があります。あわせて、重ねすぎると締めつけで流れがさらに落ちることがあります。ゆるめのものを1枚か2枚のほうが結果的に温かいことがあります。
Q. お腹は温かいのに手足だけ冷たいです。どう考えればいいですか?
A. 届ける側の問題である可能性が高い形です。芯を温める漢方薬を飲んでも手足には届きません。血が足りないのか、巡りが滞っているのか。しもやけができるなら前者、顔がほてるなら後者が疑われます。
Q. どのくらいで手ごたえが出ますか?
A. 2週間から1か月で、冷えてから戻る速さが変わってきます。冷たさそのものが変わるのはその後です。しもやけができるかどうかは冬にならないと分からないため、夏から始めた方は翌シーズンが判断の場になります。
Q. 温めるのは手足と腰、どちらがいいですか?
A. 腰と下腹部です。供給元を温めておくと、末端に届く量が増えます。手足を直接温めるのは、いま届いている分を逃がさない対処にとどまります。両方できるなら両方で構いませんが、優先順位は中心が先です。
Q. 手足の色が白や紫に変わります。冷え性でしょうか?
A. 別の状態として扱われることがあります。寒いところで白くなり、その後に紫や赤へ変わる、痛みを伴う、指先に傷ができる。こうした形では医療機関での確認が先になります。確認を受けたうえで漢方薬を併用することはできます。
まとめ
末端冷え性は、温める力の不足ではなく届ける力の問題であることが多くあります。手のひらでへその周りを触り、胸のあたりと比べてください。お腹が温かければ、芯を温める漢方薬を飲んでも手足には届きません。
届いていない理由は2つです。運ぶものが足りないのか、道が細くなっているのか。しもやけができるなら前者、顔はほてるのに足が冷たいなら後者。ここで選ぶ漢方薬が正反対になります。
靴下を重ねても変わらないのは、保温と加温が別のものだからです。外から包むより、ふくらはぎを動かして流れを作るほうが効きます。温めるなら手足より腰と下腹部です。
判断の物差しは、冷たさそのものではなく戻る速さです。当薬局では記録を伺ったうえで、補う側と巡らせる側の比重を調整した煎じ薬をお作りしています。何を試しても変わらないと感じたときは、公式LINEからお気軽にご相談ください。


