「病院では異常なしと言われたが、冷えは治らない」「なぜ自分だけこんなに冷えるのか分からない」――冷え性の原因についてのご相談は、当薬局でも一年を通していただきます。
結論からお伝えすると、冷え性の原因は1つではなく、漢方では4つのタイプに分けて考えます。血が足りない、血が滞る、温める力が足りない、気が滞る。この4つです。
当薬局では、どこが冷えるか、いつ冷えるか、何と一緒に出るかを伺って見立てています。原因が分かれば、選ぶものも自然に決まります。
なぜ検査で異常が出ないのか
結論: 冷え性は病名ではなく、検査項目もありません。異常なしと言われても、原因がないわけではありません。
測る物差しがない|それでも筋道は立つ
体温を測っても平熱です。血液検査でも大きな異常が出ないことがほとんどです。医療機関で相談して、様子を見ましょうと言われた経験のある方は多くいらっしゃいます。
これは原因がないという意味ではなく、いまの検査で数値化できる項目がないということです。異常がないなら気のせいだと思われる方がいらっしゃいますが、感じているものは確かにそこにあります。
ただ、別の見方をすれば筋道は立ちます。
一方、漢方には冷えを扱う枠組みが古くからあります。添付文書の効能・効果に冷え症という言葉が入った漢方薬も複数あり、選択肢として整理されています。
数値では出ないものを、体のどこが冷えるか、いつ冷えるかという情報から組み立てるのが漢方の見方です。
検査で異常なしと言われた方でも、扱える枠が残っているということです。気のせいだと片づける必要はありません。
確認が先になる場合もある
ただし、すべてを冷え性として扱えるわけではありません。急に始まった、片側だけ、しびれや痛みを伴う。こうした形では別の原因を疑います。
甲状腺の働きの低下や貧血は、血液検査で分かります。数か月で急に冷えるようになった方は、確認を先に受けるほうが早く進みます。
1回調べておけば、そのあとは冷え性として扱ってよいと分かります。除外するための検査という位置づけです。
タイプ1|血が足りない
結論: 末端まで温かさを運ぶものが足りない状態です。若い女性に最も多く見られ、しもやけができやすいのが目印になります。
血が足りない形と、足りなくなる理由
手足の先が冷たい、しもやけができやすい、顔色が悪い、爪が割れやすい、髪が細くなった、立ちくらみがする。
体の芯には温かさがあるのに、末端まで届いていない状態です。お腹を触ると温かいのに、指先だけが氷のように冷たいという方が該当します。
冬だけでなく、夏の冷房でも同じように冷えます。季節に関わらず末端が冷たいのが特徴です。年間を通じて手袋が手放せない方も、この形に寄ります。
では、なぜ減るのか。
漢方では、食べたものから血が作られると考えます。極端な食事制限、朝食を抜く習慣、たんぱく質の不足。材料が足りなければ、作られる量も減ります。
女性では、生理のたびに失う分も加わります。生理後に特に冷えるという方は、この形が疑われます。
量が多い方、日数が長い方ほど、この影響が出ます。生理のあと1週間ほど調子が上がらないという方も同じ側です。
見分けの目安はしもやけ
しもやけができるかどうかが、分かりやすい手がかりです。血が届いていない部分に起こるため、このタイプに特有の症状といえます。
健康診断で貧血を指摘されたことがあるかも、判断材料になります。
ただし、検査で正常でも足りていない方がいらっしゃいます。蓄えが減っている段階では、数値はまだ動きません。
爪が割れやすい、髪が細くなったという点も同じ側の目印です。
タイプ2|血が滞る
結論: 血はあるのに流れが滞っている状態です。手足は冷たいのに顔はほてるという、上下の差が特徴になります。
血が滞る形と、滞る理由
顔色がくすむ、唇の色が暗い、生理痛が重い、経血に塊が混じる、肩こりがひどい、あざができやすい。
そして最大の特徴が、冷えのぼせと呼ばれる形です。足は冷たいのに顔や頭は熱い。
本人はほてりのほうを強く訴えることが多いので、冷えは聞かれるまで出てきません。足先を触ってもらうと、その場ではっきりします。
上と下で温度が分かれているかどうかが、ほかのタイプと分ける手がかりです。
止まる理由は、いくつも重なります。
長時間同じ姿勢でいる、運動不足、ストレス、冷え自体。滞りは冷えの結果でもあり、原因でもあります。
冷えると流れが落ち、流れが落ちるとさらに冷える。この循環に入ると、温めるだけでは抜け出せません。たとえるなら、水道管が細くなっているところに、お湯の量だけ増やしているような状態です。
管のほうを広げなければ、届く量は変わりません。巡らせる方向が土台になるのは、このためです。
温めると悪化することがある|見分けは舌の裏
このタイプに温める力の強い漢方薬を使うと、上半身のほてりが増すことがあります。顔が赤くなる、のぼせが強まる、眠れなくなる。
冷えているから温める、という単純な足し算にならないのは、このタイプがあるためです。
温める漢方薬を飲んで顔がほてった、という経験がある方は、このタイプの可能性があります。効かなかったのではなく、方向が違っていたということです。
合わないものを続けると、冷え以外のところが崩れます。
当てはまるかどうかは、自分の目で見て分かります。
舌の裏を鏡で見てみてください。血管が太く、暗い紫色をしているなら、滞りがある可能性が高くなります。自分で確かめられる数少ない目安です。
見るのは朝いちばん、歯を磨く前です。飲食のあとは色が変わるので、条件をそろえる必要があります。
写真に残しておくと、あとから比べられます。半年後に色が薄くなっていれば、方向は合っています。
生理があるうちは、経血に塊が混じるかどうかも同じ側の目印になります。
タイプ3|温める力が足りない
結論: 温める力そのものが落ちている状態です。末端だけでなく体の芯から冷えるため、手足だけを温めても続きません。
温める力が落ちた形と、落ちる理由
お腹が冷たい、下痢しやすい、寒がりで冬がつらい、夜間にトイレに起きる、腰が重い、顔色が白い。
手のひらでへその周りを触ると、胸のあたりより明らかに冷たい。これがこのタイプの目印です。
手足だけが冷たいほかのタイプとは、冷える場所が違います。芯が冷えているぶん、全身の調子に響きます。
夏でも腹巻きが手放せない、冷たいものを飲むとすぐ下すという方も同じ側です。
落ちていく背景もはっきりしています。
漢方では、加齢に伴って温める力が落ちると考えます。40代以降で増えるのは、この理由によります。
あわせて、冷たいものを摂る習慣、薄着、睡眠不足も影響します。生まれつきこの傾向が強い方もいらっしゃいます。
生まれつきの場合は、子どものころから同じ傾向があります。大人になって急に始まったなら、生活の側か年齢の側に理由があります。
いつからかを思い出すと、どちらかの見当が付きます。
末端だけを温めても届かない|手がかりは夜と便通
供給元が足りていないため、手足だけを温めても続きません。芯から温める方向が土台になります。
靴下を重ねても、カイロを手に持っても、しばらくすると戻る。この経験がある方は、このタイプの可能性があります。
外から足しているだけなので、外すと元に戻ります。作る側を増やさない限り、同じことの繰り返しです。
お腹や腰を温めるほうが、手足を温めるより効いてきます。
手がかりは、夜と便通のほうに出ます。
夜間にトイレで起きる回数と、下痢のしやすさ。この2つが並ぶなら、可能性が高くなります。
どちらも、体の下のほうが冷えているときに出やすい症状です。手足の冷たさより、こちらのほうが分かりやすい目印になります。
夜中に2回以上起きる、冷たいものを飲むと下すという形が続いているなら、当てはまります。
腰が重い、朝起きたときに腰から冷えているという感覚も同じ側です。年齢が上がるほど、この形が増えます。
タイプ4 気が滞る場合と、複数が混ざる場合
結論: 緊張で流れが止まる状態です。冷えの程度が日によって大きく変わり、場面によって出たり出なかったりします。なお1つのタイプにきれいに収まる方は多くなく、強く出ているものから手を入れて、動いてきたら次を足します。
気が滞る形と、滞る理由
ストレスがかかると冷える、ため息が多い、喉が詰まる感じがある、気分の波がある、お腹が張る。
いつも冷たいわけではなく、場面によって変わるのが特徴です。緊張する場面で手が冷たくなる方が該当します。
休みの日には気にならない、という方はこの形に当てはまります。ほかのタイプは、休んでいても冷えたままです。
差が大きいかどうかが、いちばん分かりやすい手がかりになります。
詰まる仕組みも決まっています。
漢方では、気は動かす力とされます。ストレスがかかると気の流れが詰まり、血も水も動かなくなります。
冷たいときと平気なときの差が大きいなら、体の作りより状況が原因になっている可能性があります。
手のひらに汗をかきながら冷たい、という形も出ます。緊張と結びついているためです。
喉が詰まる、ため息が多いという点も同じ側の目印になります。冷え単独では現れない特徴です。
温めるより、ほどく|見分けは場面の偏り
このタイプでは、温める漢方薬より緊張をほどく方向のほうが合います。流れが戻れば、もともとある温かさが届きます。材料も熱も足りていて、届いていないだけの状態です。足すより、通り道を開けるほうが早く進みます。
温める漢方薬を飲んで変わらなかった方が、こちらで動くことがあります。効かなかったのではなく、必要なものが違っていたということです。
生活の側では、深く息を吐く時間を作るだけでも差が出ます。
当てはまるかは、1週間で判定できます。
1週間、冷えを感じた場面を書き出してみてください。特定の相手、特定の時間帯、特定の状況に偏っているなら、このタイプが疑われます。
書くのは1行で足ります。何時に、どこで、誰といたか。この3つだけです。
偏りがなく、いつでも冷たいなら別のタイプです。この方法は、当てはまるかどうかを外す用途にも使えます。
下の表は、4つのタイプを冷える場所とサインで見比べたものです。自分で確かめる方法の欄から試すと、当たりが早く付きます。
| タイプ | 冷える場所 | 特徴的なサイン | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|---|
| 血が足りない | 手足の先 | しもやけ、顔色が悪い | 爪の色を見る |
| 血が滞る | 手足(顔はほてる) | 生理痛、塊、肩こり | 舌の裏の血管を見る |
| 温める力が足りない | 体の芯、腰 | 下痢、夜間のトイレ | へその周りを触る |
| 気が滞る | 手足(波がある) | 場面で変わる、ため息 | 冷えた場面を書き出す |
よくある組み合わせ|まとめて扱わず、入る順番で結果が変わる
血が足りていて、なおかつ滞っている。この形は実際によく見られます。材料が足りず、流れも悪いという状態です。
温める力が足りないところに、気の滞りが乗っている方もいらっしゃいます。年齢とストレスが重なる世代に多い形です。
2つ当てはまったからといって、両方に同時に手をつける必要はありません。濃いほうから始める形が確実です。
どちらが濃いかは、症状の強さで決めます。
ただし、まとめて手を出さないほうが進みます。
対象となるのは、いま最も強く出ている症状です。全部を一度に扱おうとすると、組み立てが散らかって何が効いたか分からなくなります。
主訴に近いところから始め、動いてきたら次を足す。この順序が現実的です。
2つ同時に変えると、どちらが効いたのか読めなくなります。次に判断する材料が残らないということです。
1つずつ進めるほうが遠回りに見えますが、当たりが分かるぶん結局は早く済みます。
入る順番で、進み方が変わります。
滞りが強い方に温める方向から入ると、のぼせが増して続けられなくなります。逆に、芯が冷えきっている方に巡らせる方向だけを使っても、動かすものがありません。
どちらが先かで、同じ組み合わせでも結果が変わります。
順番を決めるには、まずタイプを見立てる必要があります。ここを飛ばして始めると、半年かけて振り出しに戻ることがあります。
迷うときは、いちばん強く出ている症状から入る形が無難です。
生活側にある原因と、年代で変わる原因
結論: 体質だけでなく、日々の習慣が冷えを作っていることがあります。ここは自分で変えられる部分です。同じ冷え性でも20代と50代では背景が違うため、年代によって確かめる項目も変わります。
冷やす習慣と、動かない生活
氷入りの飲み物、アイスクリーム、生野菜中心の食事、夏場の薄着、冷房の効いた部屋での長時間。
やめる必要はありませんが、頻度を半分にするだけでも変わります。冷やす習慣を続けたまま温める漢方薬を飲むのは、綱引きをしているようなものです。
1つずつ外して7日ほど様子を見ると、自分に影響しているかどうかが分かります。関係がなければ、戻して構いません。
もう1つは、体を使っていない時間です。
ふくらはぎの筋肉は、下半身の血を上に戻す働きを担っています。座りっぱなしの時間が長いと、この働きが止まります。
1時間に1回立ち上がる、かかとの上げ下げを20回する。1日20分の歩行も効いてきます。
歩く時間が取れない方は、階段を使う回数を増やす形でも足ります。まとめて運動するより、こまめに動くほうがこの目的には合っています。
1日のうち座っている時間を数えてみると、思ったより長いことに気づきます。
食事の量が少ない|睡眠不足
材料が足りなければ、血も熱も作れません。極端な食事制限をしている方では、ここが最大の原因になっていることがあります。
朝食を抜く習慣がある方も同じです。1日の始まりに体を温める材料が入らないためです。
おにぎり1つ、バナナ1本といった程度で足ります。食べないほうがよいと考えて抜いている方ほど、この点で損をしています。
抜いた日と食べた日を数回比べると、自分に当てはまるかどうかが分かります。
夜のほうにも、材料を削る要素があります。
睡眠が足りないと、体を立て直す時間が取れません。6時間を切る日が週の半分以上あるなら、そこが変数になっている可能性があります。寝る時刻を早めるより、起きる時刻をそろえるほうが先に効きます。土台が決まると、寝る時刻は後から付いてきます。
眠りが浅い方は、時間だけを増やしても足りません。中身のほうに手を入れる必要があります。
冷えと眠りは互いに影響します。冷えて眠れず、眠れずに冷えるという形に入ることがあります。
年代別|10代から60代以降まで
血が足りないタイプが最も多くなります。食事制限、生理、睡眠不足が重なる時期です。
しもやけができる、生理が軽い、立ちくらみがする。この3つが並べば、可能性が高くなります。
この年代は、体重を落とすことに意識が向きやすい時期でもあります。落とす速さが速いほど、冷えとして出やすくなります。
部活動で運動量が多い方は、そのぶん材料も要ります。食べる量が追いついていないことがあります。
次の年代では、背景が積み重なります。
仕事と家庭の負荷が重なり、気の滞りが加わってきます。血が足りない土台に、緊張が乗る形です。
産後の方では、出産で血を失った影響が残っていることもあります。
産後1年から2年は、戻りきっていないことがあります。授乳中は睡眠も細切れになるので、条件が重なります。
仕事に戻った時期と冷えが強くなった時期が重なっているなら、気の滞りのほうが濃い可能性があります。
そのあとの年代では、様相が変わります。
更年期にさしかかると、冷えとほてりが同時に出ます。冷えのぼせと呼ばれる形で、上下の温度差が大きくなります。
温めるだけでは上半身のほてりが増すため、巡りに向かう組み立てが土台になります。
それまで冷え性ではなかった方が、この時期に冷えるようになることもあります。ホルモンの変化が背景にあります。
汗をかいたあとに冷える、という形も増えます。着るものを重ねて調整できるようにしておくと楽になります。
さらに上の年代では、別の型が主になります。
温める力そのものが落ちるタイプが増えます。腰が重い、夜間にトイレに起きる、下痢しやすい。
若いころは冷え性ではなかったのにという方は、この形が疑われます。
手足より、腰やお腹が冷えるのが特徴です。冷える場所が変わったなら、タイプも変わっています。
以前に合っていた漢方薬が、いまは合わないということが起こります。何年も同じものを飲んでいる方は、一度見直す価値があります。
記録の取り方と、原因が分かった後にすること
結論: 冷たさそのものより、戻る速さを記録します。この差は本人しか分からないため、書かなければ拾えません。タイプが分かれば、飲むもの、生活の変え方、確かめる項目の3つが決まります。
記録する5項目|平均で読み、偏りを拾う
- 朝起きたときの手足の冷たさを3段階で
- 一度冷えてから戻るまでのおおよその時間
- その日の最低気温
- 冷えを強く感じた場面(時間帯、状況)
- 生理の周期上の位置(女性の場合)
3番目を入れるのは、季節の影響を差し引くためです。気温が5度違えば体感も変わるので、これがないと比べられません。
最低気温は、天気の記録を見れば後からでも埋められます。書き忘れても取り返せる項目です。
書いたものは、まとめて読みます。
冷えは日によって振れます。前日の睡眠や食事でも変わるため、1日単位で比べると分かりません。
1週間の平均で見ると、戻るまで60分だったものが40分になっているといった変化が拾えます。20分の差は、体感では気づけません。
平均を出すのは、7日ぶんを足して7で割るだけです。手間はかかりません。
1日だけ良かった日、悪かった日に振り回されなくなるのが、この方法の利点です。
5つのうち、いちばん物を言うのが4つめです。
冷えを感じた場面に偏りがあるなら、気が滞るタイプが疑われます。特定の相手のとき、会議の前、夕方の疲れた時間帯。
いわば、冷えという症状の背後にある引き金を探す作業です。ここが分かると、飲むもの以外の手も打てます。
引き金が分かれば、その場面の前に手を打てます。会議の前に温かい飲み物を入れる、といった単純なことで変わります。
偏りがなければ、それも情報です。ほかのタイプに寄るということが分かります。
相談のときに持参する|手を入れる順番を決める
記録があるかどうかで、話の進み方がまったく違います。何が動いていて何が動いていないかが分かれば、次の一手が絞れます。
当薬局にお越しになる方のうち、記録を持参される方は10人に1人ほどです。残りの方とは、まず2週間だけ書いてみるところから始めます。
2週間分でも、聞き取りだけで進めるのとは中身が変わります。長く書く必要はありません。
タイプが決まったら、着手する場所を選びます。
タイプによって、先に温めるのか先に巡らせるのかが変わります。ここを決めてから始めると、遠回りが減ります。滞りが強いなら巡らせるほうから、芯が冷えているなら温めるほうから。この見立てが最初の分かれ道になります。
2つ当てはまる方は、症状の強いほうを先にします。同時に両方へ手を入れると、どちらが効いたか分かりません。
決めるのに時間をかけるのは、遠回りではありません。90日を無駄にしないための時間です。
記録する項目を決める|季節を織り込む
冷たさそのものより、戻る速さを記録します。以前は一度冷えると1時間戻らなかったのが、20分で戻るようになる。
この変化は本人しか分からないため、記録がないと拾えません。冷たいかどうかではなく、戻るまでの時間を見るのが要点です。
冷たいかどうかは、その日の気温に引きずられます。戻る速さのほうが、体の状態を映しています。
測り方は、冷えを感じた時刻と、気にならなくなった時刻を書くだけで足ります。
もう1つ、外の条件も欄に入れます。
冷え性は季節で変動します。夏に飲み始めた方は、楽になったのが漢方薬のおかげか季節のおかげか分かりません。
記録に気温や季節も添えておくと、後で判断がしやすくなります。
いちばん確かなのは、去年の同じ時期と比べることです。1年ぶんたまると、この比べ方ができるようになります。
それまでは、気温の欄を書き添えておくだけで足ります。同じ気温の日どうしを並べれば、季節の影響を外せます。
冷え性と間違えやすい状態
結論: 冷えを感じていても、背景が別のところにあることがあります。3つ知っておくと判断を誤りません。
甲状腺の働きの低下と、貧血
寒がりになる、疲れやすい、体重が増える、便秘、髪が抜ける、顔がむくむ。これらが並ぶと、甲状腺の働きが落ちている可能性があります。
血液検査で分かるため、確認は難しくありません。ここ数か月で急に冷えるようになったという方は、まずこちらを確かめる価値があります。
働きが落ちている場合は、そちらの治療で冷えも戻ります。原因に直接手を入れるほうが早く進む場面です。
2つめは、材料そのものが減っている場合です。
顔色が悪く、立ちくらみがして、疲れやすい。漢方でいう血が足りない状態と、検査上の貧血は重なる部分があります。
ただし同じではありません。検査で正常でも漢方の見方では足りていない方がいますし、逆もあります。両方の見方を持っておくと判断が広がります。
蓄えの量を測る項目は、通常の健康診断には入っていません。希望を伝えれば調べられます。
自律神経の乱れ|見分けるための問い
体温の調節がうまくいかず、暑がりと寒がりが入れ替わる。汗が出やすい、動悸がする、眠りが浅いといった症状が並びます。
この形では、冷えだけを扱っても全体が整いません。あわせて別の方向から手を入れる必要があります。
季節の変わり目に崩れる、寝不足の翌日に強く出るという方は、この側に寄ります。
生活のリズムを整えるところが土台になります。飲むものだけで押し切ろうとすると、届きません。
3つを切り分けるには、決まった問いが要ります。
冷えはいつからか。急にか、少しずつか。他に並ぶ症状はあるか。この3つを整理すると、確認を受けるべきかどうかの見当が付きます。少しずつで、何年も同じ形なら、冷え性として扱って差し支えありません。
急に始まった、片側だけ、しびれや痛みを伴う。このいずれかがあれば、確認を先に受ける場面です。
迷ったときは、確かめてしまうほうが早く済みます。異常がないと分かれば、そのあとは安心して進められます。
改善症例|原因の見立てが変わった2例
結論: 温めても変わらなかった方の背景には、別のタイプが隠れていることがあります。当薬局で伺った2つのケースをご紹介します。
ケース1:40代女性|温めるほど眠れなくなった
症状: 足の冷えで温める漢方薬を3か月飲んだが、変わらないどころか顔のほてりと寝つきの悪さが出てきたとご相談をいただきました。
アプローチ: 伺うと、生理痛が重く経血に塊が混じり、肩こりも強い状態でした。舌の裏の血管も太く暗い色をしていました。血が滞っているタイプと判断し、巡りをほどく方向の煎じ薬へ切り替えています。
経過: 3週間でほてりが軽くなり、4か月後には足の冷えも戻る速さが変わりました。温める方向が合っていなかったのではなく、順序が逆だった例です。
ケース2:20代女性|材料が足りていなかった
症状: 手足の冷えとしもやけで漢方薬を試したが変わらないとのご相談でした。飲み方も量も守れていました。
アプローチ: 食事を伺うと、体重を落とすために1日1食にしていました。血を作る材料が足りていないため、補う漢方薬を飲んでも積み上がらないとお伝えしています。血を補う煎じ薬に切り替えたうえで、朝と昼にたんぱく質を摂ることをお願いしました。
経過: 2か月で顔色が変わり、5か月後にはしもやけができない冬を過ごせています。原因は漢方薬の選び方ではなく、材料の不足だった例です。
よくある質問
Q. 病院で異常なしと言われました。原因はないのでしょうか?
A. ないわけではありません。冷え性は病名ではなく、検査で数値化できる項目がないだけです。ただし、急に始まった、片側だけ、しびれを伴うといった形では別の原因を疑います。甲状腺や貧血は血液検査で分かるので、数か月で急に冷えるようになった方は確認を受けてください。
Q. 自分がどのタイプか分かりません。どこから確かめればいいですか?
A. まず、手足の先だけが冷たいのか、お腹や腰まで冷たいのかを確かめてください。手のひらでへその周りを触り、胸のあたりと比べます。ここが最初の分岐点です。次に、顔や頭がほてることがあるかを見ます。この2つでおおよその見当が付きます。
Q. 複数のタイプに当てはまります。どれから手を付ければいいですか?
A. 珍しくありません。血が足りていて、なおかつ滞っているという形は実際によく見られます。いま最も強く出ている症状から手を入れ、動いてきたら次を足すという順序が現実的です。全部を一度に扱おうとすると組み立てが散らかります。
Q. 生活を変えるだけで治りますか?
A. 変わる方もいらっしゃいます。特に、冷たいものを日常的に摂っている方、極端な食事制限をしている方、座りっぱなしの方では、そこが最大の原因になっていることがあります。飲むものを足す前に、まずここを2か月変えてみる価値があります。
Q. 年齢とともに冷えるようになりました。これも冷え性ですか?
A. 温める力そのものが落ちるタイプが疑われます。若いころは冷え性ではなかったという方に多い形です。腰が重い、夜間にトイレに起きる、下痢しやすいという症状が並ぶなら、可能性が高くなります。末端だけを温めても続かないため、芯から温める方向が土台になります。
まとめ
冷え性の原因は1つではありません。漢方では、血が足りない、血が滞る、温める力が足りない、気が滞るという4つのタイプに分けて考えます。
最初の分岐点は、手足の先だけが冷たいのか、お腹や腰まで冷たいのかです。手のひらでへその周りを触り、胸のあたりと比べてください。次に、顔や頭がほてることがあるかを見ます。この2つでおおよその見当が付きます。
見落とされやすいのが、手足は冷たいのに顔はほてるという形です。温めるほど上半身のほてりが増すため、冷えているから温めるという足し算にすると逆に進みます。
体質だけでなく、生活側に原因があることも少なくありません。当薬局では食事と1日の過ごし方まで伺ったうえで、体に合わせた煎じ薬をお作りしています。自分のタイプが分からないときは、公式LINEからお気軽にご相談ください。


