八味地黄丸は効果が出るまでどのくらい?期間の目安と続け方を解説

八味地黄丸は効果が出るまでどのくらい?期間の目安と続け方を解説 漢方薬

「1か月飲んだが、夜中に起きる回数が変わらない」「いつまで続ければ判断できるのか」――八味地黄丸(はちみじおうがん)を飲み始めた方から、こうしたご相談をいただきます。

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結論からお伝えすると、足腰の冷えやだるさは2週間から1か月、夜間の尿の回数は1か月から3か月が目安です。同じ漢方薬でも、症状によって変わる時期が違います。

当薬局では、飲み始める前に夜間に起きた回数を1週間記録していただいています。回数は数えられますが、楽になった感覚は記憶では当てにならないためです。

  1. 効果が出るまでの目安|症状ごとに違う
    1. 早く動くもの(2週間〜1か月)
    2. 中ほどで動くもの(1〜2か月)
    3. 遅れて動くもの(1〜3か月)
  2. なぜ尿の症状は遅れるのか
    1. 補う方向の漢方薬
    2. 漢方でいう腎の働き
    3. 加齢に関わるぶん時間がかかる
  3. 効能効果に何が並ぶか
    1. 添付文書に定められている範囲
    2. 前半の条件を先に見る
    3. 症状が多いのは根が1つだから
  4. 1か月で判断してはいけない理由
    1. 尿の回数は1か月では動かない
    2. 最初の2週間で見るのは胃
    3. 附子による反応も早く出る
  5. 3か月で動かないときに疑う4つのこと
    1. 見立ての方向が違っている
    2. 胃にもたれて飲めていない
    3. 生活側の要因が大きい
    4. 別の病気が背景にある
  6. 期間が延びる生活側の要因
    1. 夕方以降の水分量
    2. カフェインとアルコール
    3. 足の冷え
    4. 日中のむくみ
  7. 六味丸との違い
    1. 温める2つが入っているかどうか
    2. 冷えがあるなら八味地黄丸
    3. のぼせがあるなら六味丸
    4. 途中で切り替えることもある
  8. 期間中に見直したい生活|4つの着眼点
    1. 下半身を冷やさない
    2. 歩く量を保つ
    3. 寝る前の習慣を整える
    4. 水分の時間帯を前に寄せる
  9. 記録の取り方|数えられるものを見る
    1. 記録する3項目
    2. 平均で見る
    3. 4週間ごとに前と並べる
  10. やめどきと減らし方
    1. 減らす前に安定を待つ
    2. 段階的に減らす
    3. 季節で変わることがある
    4. 長く飲む場合
  11. 合わないときのサイン
    1. 地黄による胃のもたれ
    2. 附子によるのぼせ・動悸
    3. かゆみや発疹
    4. 中止して確かめる
  12. 改善症例|期間の見立てが変わった2例
    1. ケース1:70代男性|胃にもたれて半量にしていた
    2. ケース2:60代女性|生活側に原因があった
  13. よくある質問
    1. Q. 1か月飲んでも夜中に起きる回数が変わりません。合っていないのでしょうか?
    2. Q. 胃がもたれるのですが、続けたほうがいいですか?
    3. Q. 何を記録すればいいですか?
    4. Q. 良くなったらすぐやめていいですか?
    5. Q. 長く飲み続けても大丈夫ですか?
  14. まとめ

効果が出るまでの目安|症状ごとに違う

結論: 冷えやだるさは早く、尿の回数は遅れます。何を見て判断するかで、待つ時間が変わります。

早く動くもの(2週間〜1か月)

足腰の冷え、腰のだるさ、朝起きたときの重さ。これらは比較的早く変化が出ます。

八味地黄丸には附子と桂皮という温める生薬が入っており、この部分が先に働くためです。

朝起きて足を床に着けたときの冷たさ、布団から出るまでのつらさ。ここが変わったかどうかは、本人がいちばん早く気づきます。2週間の時点でこれが動いていれば、方向は合っています。

中ほどで動くもの(1〜2か月)

疲れやすさ、目のかすみ、皮膚の乾燥やかゆみ。土台が積み上がってから変わる部分です。夕方まで体力がもつようになった、階段で息が切れなくなったという形で表れます。目や皮膚の変化は季節の影響も受けるため、読みにくいところがあります。1か月の時点で疲れやすさが少し軽くなっていれば、次の段階へ進んでいる合図です。ここが動かないまま2か月が過ぎるなら、見立てを疑う場面になります。

遅れて動くもの(1〜3か月)

夜間の尿の回数、残尿感、尿の出にくさ。最も期待されている部分が、最も遅れて動くというのが実際です。

ここだけを見ていると、2週間や1か月で判断を誤ります。冷えやだるさが先に動いていることに気づけるかどうかが分かれ目になります。

順番が決まっているので、先に動くものが動いていなければ、後ろも動きません。ここを逆に見ると、まだ判断できない時期に結論を出すことになります。

なぜ尿の症状は遅れるのか

結論: 八味地黄丸は体の土台を補う方向の漢方薬です。土台が積み上がってから、尿の働きに届きます。

補う方向の漢方薬

八味地黄丸は地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮、附子の8つでできています。名前の八味は生薬が8種類という意味です。出典は1800年前の医書で、この形のまま現代まで使われ続けています。

このうち地黄、山茱萸、山薬の3つが補う土台を作り、残りが余分なものをさばいたり温めたりします。補うことが先にあって、働きが戻るのは後という順序です。

漢方でいう腎の働き

漢方では、加齢に伴って衰える働きを腎と呼びます。腎臓そのものではなく、成長、生殖、水分の調節、骨や耳や髪の状態まで含む広い概念です。

八味地黄丸が向かうのはこの腎で、夜間の尿も足腰の冷えも同じ根から出た症状として扱います。だから両方に届きますが、届く順番は違います。耳鳴りや髪の変化まで同じ根から出ていると考えるため、訴えの数が多くなります。範囲が広いぶん、どこから変わるかは人によって違います。

加齢に関わるぶん時間がかかる

長い時間をかけて起きた変化を戻そうとするため、数日で結果が出るものではありません。3か月という区切りが必要になるのは、この性格によります。

風邪薬のように、その日のうちに手応えが出るものとは働き方が違います。飲み始めた日の状態を書き留めておかないと、3か月後に比べる相手がなくなります。始める前の記録が、そのまま判断の材料になります。

効能効果に何が並ぶか

結論: 疲れやすさ、四肢の冷え、尿の変化を条件として、下肢痛、腰痛、しびれ、かすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみなどが並びます。

添付文書に定められている範囲

医薬品医療機器総合機構が公開している添付文書には、効能・効果として「疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少または多尿で時に口渇がある次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ」と定められています。

長い記載ですが、前半が使う人の条件、後半が向かう症状という構造です。

前半の条件を先に見る

疲れやすい、手足が冷えやすい、尿の量が少ないか逆に多い。この条件に当てはまるかどうかが、最初の分かれ目になります。

体力が充実していて暑がりの方は、そもそも想定されていません。効能効果の文は、症状の前に体質の条件が書かれています。ここを飛ばして症状だけで選ぶと、方向が逆のものを飲むことになります。買う前に、前半の1行を読む形が確実です。

症状が多いのは根が1つだから

下肢痛から耳鳴りまで、一見ばらばらの症状が並びます。これは適応が広いというより、漢方の見方で背景を1つと捉えているためです。

並んでいる症状のうち、自分に当てはまるものが多いほど、この見立てに近いことになります。1つだけ当てはまる場合は、別の背景から出ている可能性もあります。数を数えてみると、選ぶ根拠がはっきりします。

1か月で判断してはいけない理由

結論: 1か月は土台が積み上がり始めた時期です。ただし胃の様子だけは最初の2週間で確かめます。

尿の回数は1か月では動かない

3つの段階のうち、1か月時点で見えているのは冷えやだるさの部分だけです。夜間の尿を物差しにすると、この時期はほぼ変化なしという結果になります。

判断を1か月に置くと、合っていたものまで手放すことになります。当薬局では8週間を最初の区切りとしてお伝えしています。8週間の時点でも、見るのは尿だけではありません。冷えとだるさが動いているかを合わせて見ます。

最初の2週間で見るのは胃

八味地黄丸には地黄という生薬が入っており、胃にもたれることがあります。飲み始めて数日で胃が重い、食欲が落ちるという反応が出たら、量が合っていません。

ここは我慢する場面ではありません。食後に移す、量を減らすといった調整で収まることが多くあります。

もともと胃腸が弱い方は、最初から食後で始めるという手もあります。飲めない日を作らないことのほうが優先されます。

附子による反応も早く出る

附子はトリカブトの根を加工した生薬で、温める力が強いものです。のぼせる、動悸がする、舌がしびれるといった反応が出ることがあります。

これらは飲み始めて早い時期に出ます。

1か月たってから出たものは、附子とは別の原因を考える順番になります。出た時期を書き留めておくと、この判断がしやすくなります。数日で出た反応は、体質に合っていないサインとして扱ってください。

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3か月で動かないときに疑う4つのこと

結論: 見立ての方向、胃で飲めていない、生活側の要因、別の病気。この4つを順に確かめます。

見立ての方向が違っている

八味地黄丸は冷えを伴う方に向かう漢方薬です。暑がりで、のぼせやすく、体力が充実している方では方向が合いません。

夜間の尿が多いという同じ訴えでも、背景が冷えではなく熱の場合があります。この場合は別の系統が候補になります。冷えているかどうかは、足を触れば分かります。自分では冷えていないつもりでも、手で触ると冷たいという方が実際にいらっしゃいます。ここは感覚ではなく、触って確かめる形が確実です。

胃にもたれて飲めていない

地黄によるもたれで、規定より少なく飲んでいる方が実際にいらっしゃいます。飲めていない量で3か月続けても、判断材料になりません。

飲めていない期間を飲んだ期間として数えているケースは珍しくありません。記録を見返して、実際に何日飲めたかを確かめてください。

7割以上飲めているなら、判断してよい水準です。半分を切っているなら、まず飲める形に整えるところからになります。

生活側の要因が大きい

夕方以降の水分やお酒の量、利尿作用のある飲み物、寝る前のカフェイン。夜間の尿の回数は、これらに強く左右されます。

漢方薬でどこまで支えられるかには限りがあります。飲むものを増やす前に、ここを確かめる価値があります。1週間ぶんの記録を取ると、思っていたより夕方以降に飲んでいることが分かります。飲んだ時刻と量を書くだけで足ります。ここが整うだけで回数が減る方は、少なくありません。

別の病気が背景にある

男性であれば前立腺の肥大、女性であれば骨盤底の緩み。糖尿病や睡眠時無呼吸が背景にあることもあります。

これらは漢方薬だけで解決するものではありません。3か月で何も動かないなら、医療機関での確認が要る段階です。

確認したうえで、漢方薬を続けることもできます。どちらか一方を選ぶ話ではなく、原因が分かってからのほうが組み立てやすくなるという順番です。

期間が延びる生活側の要因

結論: 夕方以降の水分、カフェイン、アルコール、冷え。この4つがあると、飲むものの手ごたえが見えにくくなります。

夕方以降の水分量

夜間の尿が多いという方の記録を見ると、夕食後に多く飲んでいることがよくあります。水分を減らす必要はありませんが、時間帯を前に寄せると変わることがあります。

1日に飲む総量は変えず、夕方以降を減らして日中に回す。この組み替えだけで回数が減る方がいます。減らす時間帯の目安は、夕食のあとからです。喉が渇くなら、日中に飲む量を増やして調整します。総量が減らなければ、体への負担も増えません。

カフェインとアルコール

コーヒー、緑茶、ビール。いずれも尿を増やす方向に働きます。夕方以降にこれらを摂っていないかを確かめてください。

カフェインが体から抜けるまでには5時間ほどかかるとされ、夕方の1杯が夜まで残ります。

完全にやめる必要はなく、時間帯を前に寄せるだけで変わります。午後3時までと決めておく形が分かりやすいところです。お酒は量そのものが影響するため、こちらは減らす方向で考えます。

足の冷え

足が冷えていると、夜中に目が覚めやすくなります。目が覚めればトイレに行くため、尿が理由で起きたのか、冷えで起きたのかが混ざります。

靴下を1枚足す、寝る前に足湯をする。この程度でも回数が変わることがあります。何回起きたかだけでなく、起きたときに尿意が強かったかどうかも書き留めておくと、この2つが分けられます。尿意がそれほどでもないのに起きているなら、冷えのほうが主です。

日中のむくみ

日中に足がむくんでいると、横になったときにその水分が戻り、夜間の尿が増えます。夕方に足がむくむ方は、ここが変数になっていることがあります。

夕方に20分だけ足を上げて横になる、という方法が知られています。

寝る前ではなく夕方に行うところが要点で、寝てから戻るはずだった水分を先に戻しておく形になります。下の表は、夜間の回数に関わる5つの要因と、先に手をつけられることをまとめたものです。

要因 夜間の回数への影響 先に変えられること
夕方以降の水分 大きい 総量は変えず日中に寄せる
カフェイン・アルコール 大きい 夕方以降を控える
足の冷え 中程度 靴下、足湯
日中のむくみ 中程度 夕方に20分足を上げる
飲めていない量 大きい 剤形を変えて飲み切る

六味丸との違い

結論: 八味地黄丸から附子と桂皮を除いたものが六味丸です。冷えがあるかどうかで選び分けます。

温める2つが入っているかどうか

六味丸(ろくみがん)は、地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮の6つでできています。八味地黄丸から、温める働きを持つ附子と桂皮を除いた形です。

補う土台は同じで、温める部分だけが違います。冷えがないのに温めると、のぼせや動悸が出るため、この2つの有無が選び分けの軸になります。

名前が似ているので、店頭で取り違える方もいらっしゃいます。数の違いが、そのまま生薬の数を表しています。

冷えがあるなら八味地黄丸

手足が冷える、腰が冷たい、冬に症状が強くなる。この形なら八味地黄丸です。

効能効果にも四肢が冷えやすくという条件が入っています。夏でも足先が冷たい、布団に入ってもなかなか温まらないという方は、はっきり当てはまります。冷房の効いた場所で症状が強くなるかどうかも手がかりです。暑い時期に楽になり寒い時期につらくなるという季節の差があるなら、この側で間違いありません。

のぼせがあるなら六味丸

顔がほてる、手のひらや足の裏が熱い、口が渇く。温める2つが不要な形です。

八味地黄丸を飲んでのぼせた方が、六味丸に切り替えて合うことがあります。

手のひらや足の裏がほてって、布団から足を出したくなるという訴えは分かりやすい目印です。夜になると強くなることが多く、寝つきにも関わります。冷えとほてりが両方あるという方は、どちらが強いかで決める形になります。

途中で切り替えることもある

季節や年齢で、冷えとのぼせの比重は変わります。冬は八味地黄丸、夏は六味丸という使い分けをされる方もいらっしゃいます。

一度決めたら変えないものではありません。切り替えの目安は、のぼせが出てきたかどうかです。八味地黄丸で顔がほてるようになったら、そこが移り時になります。反対に、六味丸で足の冷えが気になり始めたら戻す形です。体の状態に合わせて動かすものだと考えるほうが、無理がありません。

期間中に見直したい生活|4つの着眼点

結論: 下半身の冷え、歩く量、寝る前の習慣、そして水分の時間帯。飲むものと並行して動かします。

下半身を冷やさない

八味地黄丸が温めようとしている方向と、生活が逆になっていないかを見ます。夏の冷房で足先が冷えている方は、靴下1枚で変わることがあります。

腰を冷やさないことも同じくらい重要です。腹巻きや厚手の下着が効いてくる場面があります。

温めるべき場所は、足首から下と腰の2か所です。上半身をいくら着込んでも、ここが冷えていれば同じことになります。寝ているあいだの布団の掛け方でも変わってきます。

歩く量を保つ

足腰の力は、使わなければ落ちます。1日20分の歩行でも、続けると腰のだるさが変わる方がいます。

漢方薬は土台を補いますが、使う側の習慣がないと積み上がりにくくなります。まとめて歩く必要はなく、1日の中で分けても構いません。買い物や通勤の中で歩数が確保できているなら、それで足ります。歩けない日が続くと腰のだるさが先に戻ってくるので、そこが目安になります。

寝る前の習慣を整える

寝る直前まで画面を見ている、寝る前に大量の水を飲む、寝る前に入浴して汗をかく。いずれも夜間に目が覚める原因になります。

尿が理由で起きたのか、目が覚めたついでにトイレへ行ったのか。この区別が付くと、記録の意味が変わります。

後者であれば、変えるべきは眠りのほうです。漢方薬の量を増やしても、この部分は動きません。寝室の温度や、寝る前の過ごし方から見直す順番になります。

水分の時間帯を前に寄せる

1日に飲む総量は変えず、夕方以降を減らして日中に回します。この組み替えだけで夜間の回数が減る方がいます。

あわせて、日中の水分が足りていない方は、そちらを増やすほうが先になります。夜間の尿を減らそうとして、1日の総量まで減らしてしまう方がいらっしゃいます。脱水になると別の不調が出るため、この方向は避けます。減らすのは時間帯であって、量ではありません。

記録の取り方|数えられるものを見る

結論: 夜間に起きた回数、足の冷え、飲めた回数。この3つを4週間ごとに並べます。感覚ではなく数字で残すことが、判断のぶれを防ぎます。

記録する3項目

  1. 夜間に尿で起きた回数(1週間分の平均)
  2. 足腰の冷えとだるさを3段階で
  3. 実際に飲めた回数

3番目を忘れると、合う合わないの判断そのものが成り立ちません。

書くのは1日30秒ほどで済みます。手帳の隅に3つの数字を並べるだけで足ります。3か月分そろえば、平均の動きが目で見えるようになります。飲めた回数だけは、面倒でも毎日つける価値があります。

平均で見る

夜間の回数は日によって振れます。前日の水分量や気温でも変わるため、1日単位で比べると分かりません。

1週間の平均で見ると、3回が2.5回になっているといった変化が拾えます。

数字にして初めて分かる変化なので、記録がないと見落とします。1週間ごとに平均を出しておくと、動いているかどうかがその場で分かります。0.5回の差は、体感では気づけません

4週間ごとに前と並べる

毎日つけていても、見返さなければ判断材料になりません。4週間ごとに前の4週間と並べ、平均でどう変わったかを見ます。

冷えのほうが先に動くので、そこが変わっていれば尿のほうも期待できます。逆に、8週間たっても冷えが何も変わっていないなら、そこで見立てを取り直す形になります。3か月を待たずに判断できる場面です。並べるのは4週間ごとで足り、毎週見返す必要はありません。

やめどきと減らし方

結論: 症状が落ち着いても、急にやめると戻ることがあります。段階を踏んで減らします。

減らす前に安定を待つ

夜間の回数が減ってから、さらに1か月から2か月は同じ量で続けます。安定したところで減らし始めます。

良くなった時点ですぐ減らすと、戻ってしまうことがほとんどです。効いたのは薬だからで、抜けば元の条件に戻ります。安定というのは、良い状態が1か月以上続いていることを指します。数字が一度下がっただけでは、まだそこに入っていません。焦らないほうが、結局は少ない量で落ち着きます。

段階的に減らす

1日3回を2回に、2回を1回にと段階を踏みます。1段階につき2週間ほど置いて、記録を見ながら進めます。

戻るようなら1つ前に戻します。戻せる前提で進めると、失敗しても困りません。1日1回まで下げたところで止める方もいらっしゃいます。ゼロにすることが目的ではないので、その方にとっていちばん少ない量で保てていれば足ります。どこまで下げられるかは、人によって違います。

季節で変わることがある

冬に症状が強くなり、夏は軽くなるという方がいます。冷えが背景にあるため、寒い時期に量を戻すという使い方が理にかなっています。

年間を通して同じ量である必要はありません。

寒くなる前に戻しておくと、症状が強くなる前に間に合います。11月に入ったら量を戻す、というように時期を決めておく方もいらっしゃいます。前の年の記録があれば、いつから強くなるかも分かります。

長く飲む場合

八味地黄丸には甘草が入っていないため、むくみや血圧の上昇という副作用の心配は少ない部類です。長く飲む場合には利点になります。

ただし附子を含むため、のぼせや動悸が出ていないかは定期的に確かめる必要があります。年齢が上がると、同じ量でも反応が変わることがあります。何年も同じ量で飲んでいる方ほど、年に1回は見直す機会を持つ価値があります。

合わないときのサイン

結論: 胃の重さ、のぼせ、動悸、舌のしびれ。飲み始めてから出たものは、体からの返事として扱います。

地黄による胃のもたれ

飲み始めて数日で胃が重い、食欲が落ちる。地黄によるものが最も多い反応です。

食後に移す、量を減らすといった調整で収まることが多くあります。1週間経っても収まらなければ、剤形を変えるか組み立てを見直します。

煎じ薬にすると、地黄の量を調整できるため飲めるようになる方がいます。エキス剤で無理だったから合わない、と決める前に試せる手が残っています。

附子によるのぼせ・動悸

顔がほてる、動悸がする、舌がしびれる。これらは附子によるものが疑われます。

量が多いか、体質に合っていない可能性があります。数日で収まらなければ中止して相談してください。附子の量は製品によって違うため、別の製品に替えると出なくなることもあります。合わないと決めるのは、量を調整してからで足ります。舌のしびれが出た場合は、量が多い側の合図です。

かゆみや発疹

頻度は高くありませんが、皮膚症状が出ることがあります。もともとかゆみで飲んでいる方では区別が付きにくいため、飲み始めてから出たかどうかを見ます。

場所が変わった、形が変わったという点も手がかりになります。もともとあった乾燥によるかゆみは、飲み始めて1か月ほどで軽くなる方向に動きます。逆に、新しく出た発疹が広がっていくなら、いったん止めて確かめる場面です。

中止して確かめる

判断が付かないときは、いったん中止して2週間置きます。収まるなら副作用の可能性が高く、変わらないなら別の原因です。2週間止めても、それまでの3か月が無駄になるわけではありません。再開すれば、そこから続きとして積み上がります。止めることをためらって我慢を続けるより、はっきりさせてから決めるほうが早く進みます。止めた期間と症状の動きは、必ず書き留めておく形にします。

改善症例|期間の見立てが変わった2例

結論: 3か月で判断が付かなかった方の背景には、飲み方か生活側に原因があることが多くあります。当薬局で伺った2つのケースをご紹介します。

ケース1:70代男性|胃にもたれて半量にしていた

症状: 夜間に3回から4回起きる状態で、市販の八味地黄丸を4か月飲んだが変わらないとご相談をいただきました。足腰の冷えは強く、条件には当てはまっていました。

アプローチ: 飲み方を伺うと、胃がもたれるため自己判断で半量にしていました。地黄の量を控えめにし、温める側を厚くした煎じ薬へ切り替えています。

経過: 胃の重さは出ず、6週間で足腰の冷えが軽くなりました。4か月後には夜間に起きる回数が平均1.5回に減っています。合っていなかったのは方向ではなく、飲み切れる量だった例です。

ケース2:60代女性|生活側に原因があった

症状: 夜間の尿で八味地黄丸を3か月飲んだが変わらないとのご相談でした。記録を見ると、飲めた回数は十分で、足の冷えは軽くなっていました。

アプローチ: 生活を伺うと、夕食後に緑茶を3杯ほど飲む習慣がありました。総量は変えず、緑茶を日中に寄せて夕食後は白湯(さゆ)に変えるようお伝えしています。漢方薬は続けました。

経過: 2週間で夜間の回数が平均3回から2回に減り、その後2か月でさらに1回まで下がりました。漢方薬が効いていなかったのではなく、生活側が打ち消していた例です。

よくある質問

Q. 1か月飲んでも夜中に起きる回数が変わりません。合っていないのでしょうか?

A. 1か月では判断できません。八味地黄丸は土台を補ってから尿の働きに届くため、回数が動くのは1か月から3か月かかります。先に変わるのは足腰の冷えやだるさなので、そちらが動いているかを確かめてください。

Q. 胃がもたれるのですが、続けたほうがいいですか?

A. 我慢する場面ではありません。地黄によるもたれが疑われるので、食後に移す、量を減らすといった調整をします。1週間経っても収まらなければ、剤形を変えるか組み立てを見直す時期です。自己判断で半量にして続けると、判断材料にならなくなります。

Q. 何を記録すればいいですか?

A. 夜間に起きた回数、足腰の冷えを3段階で、実際に飲めた回数。この3つを4週間ごとに並べてください。夜間の回数は日によって振れるので、1週間の平均で見ます。0.5回の差は体感では気づけません。

Q. 良くなったらすぐやめていいですか?

A. 安定してから1か月から2か月は同じ量で続け、そこから段階的に減らします。1日3回を2回に、2回を1回にと、1段階につき2週間ほど置いて記録を見ながら進めてください。

Q. 長く飲み続けても大丈夫ですか?

A. 甘草を含まないため、むくみや血圧の上昇という心配は少ない部類です。ただし附子を含むので、のぼせや動悸が出ていないかは定期的に確かめてください。あわせて、冬に量を戻し夏は減らすといった季節による調整も理にかなっています。

まとめ

八味地黄丸で効果が出るまでの目安は、足腰の冷えやだるさが2週間から1か月、疲れやすさや目のかすみが1か月から2か月、夜間の尿の回数が1か月から3か月です。最も期待されている尿の症状が、最も遅れて動きます。

そのため、夜間の回数だけを見ていると1か月で判断を誤ります。土台を補ってから働きが戻るという順序なので、先に冷えが動いているかどうかを確かめてください。

3か月で動かないときに疑うのは、見立ての方向、胃にもたれて飲めていないこと、生活側の要因、別の病気の4つです。特に多いのは、地黄によるもたれで自己判断で量を減らしているケースです。

夜間の回数は、夕方以降の水分やカフェインにも強く左右されます。当薬局では記録を伺ったうえで、地黄や附子の量を組み直した煎じ薬をお作りしています。3か月の判断に迷ったときは、公式LINEからお気軽にご相談ください。

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れいわ漢方薬局 無料漢方相談(来店・ビデオ通話・LINEチャット)
執筆者 濵田篤秀(薬剤師)

執筆者:濵田 篤秀

れいわ漢方薬局 渋谷店 薬剤師/博士(医学)

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東京都渋谷区渋谷1-14-14
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