五苓散は生理中に飲んでも大丈夫?むくみと頭痛への使い方を解説

五苓散は生理中に飲んでも大丈夫?むくみと頭痛への使い方を解説 漢方薬

「生理中に飲んでも問題ないのか」「経血の量に影響しないか心配」――五苓散(ごれいさん)を生理と重ねて飲むことについて、こうしたご質問をいただきます。

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結論からお伝えすると、生理中に飲んで差し支えない漢方薬です。経血の量を増やしたり減らしたりする方向の生薬は入っていません。

当薬局では、むしろ生理前から生理中にかけての時期こそ出番があると考えています。この時期にむくみと頭痛が重なる方は多く、五苓散が向かうのはまさにその形です。

  1. 生理中に飲んで差し支えない理由
    1. 血に働く生薬が入っていない
    2. 甘草も含まない
    3. 経血量への影響
  2. 生理周期とむくみの関係
    1. 排卵後に水をため込む
    2. 溜まった水が症状になる
    3. 生理が始まると抜けていく
  3. 生理前に飲むか、生理中に飲むか
    1. 症状の山を先に見つける
    2. 山の3日前から飲み始める
    3. 周期が不安定な場合
  4. 生理中の頭痛にどう使うか
    1. 五苓散が向かう頭痛
    2. 向かない頭痛
    3. 鎮痛薬との併用
    4. 月に10日以上鎮痛薬を使っている場合
  5. 生理中のむくみにどう使うか
    1. 周期に連動しているかを見る
    2. 体重で確かめる
    3. 塩分の摂り方が重なる
    4. 医療機関での確認が先になる形
  6. 他の漢方薬との併用|生理のときに使うもの
    1. 甘草を含まないので重ならない
    2. 当帰芍薬散との使い分け
    3. 桂枝茯苓丸との使い分け
    4. 併用するときに確かめること
  7. ピルを飲んでいる場合
    1. 相互作用の報告
    2. ピルでむくみが出ている場合
    3. 飲む時間をずらす必要はあるか
  8. 生理前の吐き気とだるさ
    1. 胃に水が溜まる形
    2. 頭の重さとの関係
    3. だるさと眠気
  9. この時期に見直したい生活|4つの着眼点
    1. 塩分の摂り方
    2. 冷たいものを減らす
    3. 水はこまめに分けて飲む
    4. ふくらはぎを動かす
  10. 年代で変わる出方
    1. 20代から30代前半
    2. 30代後半から40代
    3. 更年期にさしかかる時期
    4. 産後の時期
  11. 記録の取り方|1周期で見る
    1. 記録する4項目
    2. 1周期で判断できること
    3. 3周期で判断すること
  12. 改善症例|周期に合わせて使い方を変えた2例
    1. ケース1:30代女性|飲み始めるのが遅かった
    2. ケース2:40代女性|周期に関係ないむくみだった
  13. よくある質問
    1. Q. 生理中に飲むと経血が増えますか?
    2. Q. いつから飲み始めればいいですか?
    3. Q. 生理痛にも効きますか?
    4. Q. ピルと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
    5. Q. 何周期続ければ判断できますか?
  14. まとめ

生理中に飲んで差し支えない理由

結論: 五苓散の5種類の生薬は、いずれも血の巡りや量に直接働きかけるものではありません。

血に働く生薬が入っていない

五苓散は沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂皮の5つでできています。このうち水をさばくのが4つ、温めて巡らせるのが1つです。

漢方薬のなかには、血を動かす方向の生薬を含むものがあります。桃仁や紅花といった生薬がそれにあたり、生理中は量を加減する場面があります。五苓散にはこれらが入っていません

生理中に飲んでよいかという問いの答えは、この一点で決まります。

甘草も含まない

甘草はむくみを起こすことがある生薬です。生理前後はもともとむくみやすい時期なので、甘草を含む漢方薬では時期によって影響が出ることがあります。

五苓散はこの点でも心配が少ない部類です。甘草を含む漢方薬と併用していても、五苓散の側で量が積み上がることはありません。生理の相談で使う漢方薬には甘草を含むものが多いので、重ねる相手として選びやすい部類に入ります。

経血量への影響

飲んでいる方から、経血が増えた、減ったという訴えを伺うことはほとんどありません。水の偏りをならす方向なので、子宮の内膜や出血そのものに働きかける組み立てになっていないためです。

ただし、生理の様子が明らかに変わったと感じた場合は、他の要因も含めて確かめる必要があります。

量や日数は、睡眠や体重の変化でも動きます。飲み始めた時期とたまたま重なっただけ、ということもあります。

生理周期とむくみの関係

結論: 生理前から生理中にかけては、ホルモンの変動で水分をため込みやすくなります。この時期に不調が集中する理由です。

排卵後に水をため込む

排卵から生理までの期間は、体が水分をため込む方向に傾きます。体重が1キロから2キロ増える方も珍しくありません。

食べすぎたわけではないのに増える。この形であれば、水として溜まっている可能性が高くなります。生理が始まって数日で戻るかどうかが、見分けの手がかりです。戻るなら水、戻らないなら別の理由になります。1周期だけ体重を記録すると、この山と谷がはっきり見えます。

溜まった水が症状になる

漢方の見方では、溜まった水がどこにあるかで症状が変わります。頭に溜まれば頭痛、胃に溜まれば吐き気、皮下に溜まればむくみ。

生理前に頭痛と吐き気とむくみが同時に来るという訴えは、この見方だと1つのこととして説明が付きます。ばらばらの症状に見えて、背景は同じです。だから、3つそれぞれに薬を足す必要もありません。1つを整えると、残りも一緒に動きます。

生理が始まると抜けていく

生理が始まると、ため込んでいた水が抜け始めます。生理2日目や3日目から急に楽になるという方が多いのは、このためです。

むくみが最もきついのは生理が始まる直前という方が多く、記録を取るとこの山がはっきり見えます。

抜け方には個人差があり、1日で戻る方もいれば3日かかる方もいます。自分がどちらかを知っておくと、いつまでつらいかの見当がつきます。

生理前に飲むか、生理中に飲むか

結論: 症状が出る山の位置によって決めます。生理前に集中するなら、その手前から飲み始めるほうが手ごたえが出ます。

症状の山を先に見つける

まず1周期から2周期、症状が出た日を記録します。生理開始日を1日目として、何日目にむくみや頭痛が出ているかを並べます。

多くの方は、生理開始の3日前から2日目までのどこかに山が来ます。人によっては排卵の頃にもう1つ山があります。山が2つある方は、飲み始める時期も2回になります。1周期の記録では読み違えることがあるので、2周期分を並べて確かめる形が確実です。

山の3日前から飲み始める

痛くなってから飲むより、山の手前から飲むほうが手ごたえが出やすくなります。頭痛が始まってからでは、すでに偏りが進んでいるためです。

生理前に山が来る方なら、開始予定日の1週間前くらいから。生理中に山が来る方なら、生理が始まったところから。

飲み終わる時期も決めておくと、飲みすぎずに済みます。山が過ぎて2日ほどでやめる形が目安です。毎日飲み続ける必要はありません。

周期が不安定な場合

生理不順で予定日が読めない方では、この使い方が難しくなります。この場合は常用して偏り自体を整えるか、症状が出た日に飲む形になります。

あわせて、周期の乱れそのものについては別の見立てが要ります。五苓散は周期を整える方向の漢方薬ではありません。むくみが取れても周期は動かない、という点は先に知っておく価値があります。

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生理中の頭痛にどう使うか

結論: 生理に伴う頭痛のうち、五苓散が向かうのは水の偏りによるものです。全部の頭痛に効くわけではありません。

五苓散が向かう頭痛

頭が重い、締めつけられる、天気が崩れる日に悪化する、吐き気を伴う、むくみと同時に来る。こうした形は水の偏りとして扱えます。

生理のときだけでなく、雨の前にも頭痛が出るという方は、その傾向が強いと考えられます。

天気の崩れと生理前が重なった月に、いちばん強く出るという話もよく伺います。2つの条件が同じ方向に働くためです。手帳に天気も書いておくと、この重なりが見えます。

向かない頭痛

こめかみがずきずきと脈打つ、光や音がつらい、動くと悪化する。こうした形は、水の偏りだけでは説明が付かないことがあります。

対象となるのは水の偏りが背景にある頭痛で、それ以外の形は該当しません。医療機関で診断を受けている方は、そちらの治療を土台にしたうえで併用を考えます。両方の形が混ざっている方もいらっしゃいます。その場合は、どちらが多い月かを数えてから決める形になります。

鎮痛薬との併用

鎮痛薬と五苓散は働き方が違うため、併用できます。痛みが強い日は鎮痛薬を使い、五苓散は続けるという形です。

鎮痛薬を飲む日数が減ってきたら、偏りが整ってきた目安になります。痛みの記憶は曖昧になりますが、鎮痛薬を何回使ったかは数えられます

数える単位は、日数と回数の両方にしておくと分かりやすくなります。1日に2錠飲んだ日と1錠で済んだ日では、意味が違います。

月に10日以上鎮痛薬を使っている場合

鎮痛薬を頻繁に使い続けると、それ自体が頭痛の原因になることがあります。月に10日以上という目安を超えている方は、医療機関での相談が先になります。この場合、五苓散を足しても頭痛そのものは減りません。まず鎮痛薬を減らせる状態を作るところからになります。数えてみると思っていたより多い、という方が実際にいらっしゃいます。1か月分をさかのぼって数えるところから始まります。

生理中のむくみにどう使うか

結論: 生理前後に集中するむくみは五苓散の得意な形ですが、周期に関係なく続くむくみは別の確認が要ります。

周期に連動しているかを見る

生理前だけ、生理中だけむくむという形なら、ホルモンの変動と水の偏りが重なっています。この場合、その時期に絞って飲む使い方ができます。

一方、周期に関係なく毎日むくんでいる方は、生活側や別の原因を疑います。

連動しているかどうかは、2周期分の記録があれば分かります。同じ日数のところで毎回出ているなら連動、ばらばらなら別の要因です。ここが分かれると、飲み方も変わります。

体重で確かめる

むくみは見た目では判断しにくく、気づいたときには数日経っていることがあります。体重であれば数字で残ります。

朝起きて排尿の後、同じ服装で測る。この条件を固定して1周期記録すると、生理前に増えて生理中に戻るという形が見えます。夜に測ると食事と水分の影響が大きく、この山は読めません。測る時刻をそろえることが、比べられるかどうかを決めます。1日単位の上下は気にせず、山と谷だけを見る形で足ります。

塩分の摂り方が重なる

生理前は塩辛いものを欲しくなる方が多くいます。塩分が増えれば水をため込む方向に働くため、症状が強く出ます。

飲むものだけでなく、この時期の食べ方も見る必要があります。あわせて、冷たいものを摂る量も影響します。欲しくなること自体は自然な変化なので、我慢し続けるのは現実的ではありません。生理前の1週間だけ頻度を半分にする、という形なら続きます。

医療機関での確認が先になる形

急に始まった、片足だけ、押した跡が深く残る、息切れを伴う。これらは心臓や腎臓の問題が背景にある可能性があります。

該当する場合、漢方薬で様子を見る前に検査が要ります。

生理周期と関係なく続いている、左右の差がはっきりしているという点が見分けの手がかりです。生理前だけ、両足に同じように出るという形なら、この4つには当たりません。心当たりがある方は、そこを先に確かめる順番になります。

他の漢方薬との併用|生理のときに使うもの

結論: 生理痛や冷えで別の漢方薬を飲んでいる方でも、五苓散を併せやすい部類です。甘草を含まないため、量が積み上がる心配がありません。

甘草を含まないので重ならない

生理の相談で使われる漢方薬には、甘草を含むものが数多くあります。芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)など。

五苓散には甘草が入っていないため、これらと併せても甘草の量は増えません。併用しやすい理由の1つです。

2種類以上を飲むときは、まず甘草の有無を見る。この順番にしておくと、後で困りません。箱の裏の成分表示で確かめられます。

当帰芍薬散との使い分け

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、冷えと血の巡りの問題を同時に扱う漢方薬です。水をさばく生薬も含んでおり、むくみにも用いられます。

生理不順や強い冷えが前面にあるなら当帰芍薬散、水の偏りだけが問題なら五苓散という分かれ方です。両方の要素がある方では、時期で使い分けることもあります。冬は当帰芍薬散、梅雨は五苓散という形です。季節で症状の出方が変わる方には、この使い分けが合います。

桂枝茯苓丸との使い分け

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、血の滞りに向かう漢方薬です。生理痛が重い、経血に塊が混じる、顔ののぼせがあるという方に選ばれます。

むくみが主訴なら五苓散、痛みと塊が主訴なら桂枝茯苓丸。あわせて飲む場面もあります。どちらも甘草を含まないため、重ねても量は増えません。下の表は、生理の相談でよく使う漢方薬を、主訴と甘草の有無で並べたものです。

漢方薬 主訴 甘草 五苓散との関係
五苓散 むくみ、頭痛、吐き気 含まない
当帰芍薬散 冷え、生理不順 含まない 時期で使い分ける
桂枝茯苓丸 生理痛、経血の塊 含まない 併せる場面がある
加味逍遙散 イライラ、ほてり 含む 併用しやすい
芍薬甘草湯 急な痛み 含む 頓用で併せる

併用するときに確かめること

内容の重複は確かめる必要があります。茯苓や白朮は多くの漢方薬に含まれるため、重なっていることがあります。

飲んでいるものを薬剤師に見せていただくのが確実です。

箱ごと持って来られるのが、いちばん早い方法です。名前を思い出そうとしても、似た名前が多くて取り違えが起きます。重なっていたからといって必ず問題になるわけではなく、量を見て判断する形になります。

ピルを飲んでいる場合

結論: 低用量ピルとの併用で問題が報告されているものはありません。ただし始める前に処方している医療機関に伝えてください。

相互作用の報告

五苓散と低用量ピルの併用について、明確な相互作用の報告はありません。作用する仕組みが重ならないためです。

ただし報告がないことと、確かめられていることは違います。伝えたうえで飲むほうが安心です。低用量ピルを出している医療機関に、漢方薬の名前を伝えるだけで足ります。用紙に書く欄がなければ、口頭で伝える形でも構いません。市販で買ったものも、同じように伝える対象です。

ピルでむくみが出ている場合

ピルの副作用としてむくみが出ることがあります。この場合、五苓散を足すという方法もありますが、まず処方している医療機関に相談するのが順序です。

種類を変えることで収まる場合があり、そのほうが根本的です。

飲み始めて3か月ほどで落ち着くこともあります。始めたばかりでむくみが出た方は、そこまで待ってから判断する形もあります。つらさが強い場合は、待たずに伝えて構いません。

飲む時間をずらす必要はあるか

同じ時間に飲んでも差し支えありませんが、胃への負担を分けたい場合は30分ほど空けても構いません。どちらでも働きは変わりません。ピルは毎日同じ時刻に飲むものなので、そちらの時刻を動かさないほうが確実です。五苓散の側を前後にずらす形になります。五苓散は食前が基本ですが、胃に負担を感じるなら食後でも構いません。飲めない日を作らないことのほうが優先されます。

生理前の吐き気とだるさ

結論: 頭痛やむくみと同時に来る吐き気やだるさも、水の偏りとして説明が付くことがあります。

胃に水が溜まる形

漢方では、胃のあたりに水が溜まると吐き気が出ると考えます。生理前に胃が重い、食欲が落ちる、水を飲むとみぞおちで音がする。

こうした形であれば、五苓散が向かう範囲に入ります。みぞおちを軽く叩いてちゃぷちゃぷと音がするかどうかは、自分で確かめられる目安です。

音がいちばん分かりやすいのは、朝の空腹時です。仰向けになって、指先で軽く弾くように叩きます。

頭の重さとの関係

吐き気と頭痛が同時に来る方は多くいます。水が上のほうに偏っていると考えると、この2つは同じ場所の話になります。

別々の症状として別々に手当てしようとすると、飲むものが増えるばかりで整理が付きません。背景を1つと見るほうが扱いやすくなります。2つが同じ日に来るかどうかを記録しておくと、同じ背景かどうかが確かめられます。別々の日に出るなら、別の原因を考える形になります。

だるさと眠気

生理前のだるさや眠気には、ホルモンの変動そのものが関わります。五苓散で全部が説明できるわけではありません。

ただし、体が重い、頭が重い、動くのが億劫という形のだるさは、水が溜まっている感覚として語られることがあります。むくみと同時に来ているなら、そちらから整えるという順序が成り立ちます。

むくみが取れてもだるさだけ残るなら、そこは別の手当てが要る部分です。

この時期に見直したい生活|4つの着眼点

結論: 塩分、冷たいもの、水の飲み方、体を動かす量。この4つが生理前の水の溜まり方に直接影響します。

塩分の摂り方

生理前は塩辛いものを欲しくなる方が多くいます。ポテトチップス、ラーメン、味の濃い外食。

塩分が増えれば水をため込む方向に働きます。この時期だけでも頻度を半分にすると、体重の増え方が変わることがあります。欲しくなること自体を止める必要はありません。量を半分にする、食べる時間を昼にするといった調整で足ります。一年中我慢するより、この1週間だけと決めるほうが続きます。

冷たいものを減らす

漢方では、冷たいものが胃腸の働きを鈍らせ、水をさばく力を落とすと考えます。五苓散の桂皮が温めようとしている方向と逆になります。

氷入りの飲み物を常温に変えるだけでも違います。

夏場は難しいと感じますが、口に含んで少し温めてから飲み込むだけでも変わります。飲む量を減らす必要はなく、温度だけを変える形です。生理前の1週間に絞れば、実行もしやすくなります。

水はこまめに分けて飲む

一度に大量の水を飲むと、処理しきれずに溜まります。同じ1日1.5リットルでも、まとめて飲むのと分けて飲むのとでは結果が違います。

コップ1杯を2時間おきに、という形が現実的です。飲む量を減らす必要はありません。むくむからといって水を減らすと、かえって溜め込む方向に働きます。減らすのは量ではなく、一度に入れる量のほうです。手元に小さめのコップを置いておくと、自然に回数が増えます。

ふくらはぎを動かす

ふくらはぎの筋肉は、下半身の水を上に戻す働きを担っています。座りっぱなしの時間が長いと、この働きが止まります。

1時間に1回立ち上がる、かかとの上げ下げを20回する。あわせて行うと、飲むものの手ごたえも変わります。

運動として時間を取る必要はありません。席を立つついでに数回動かすだけで足ります。夕方に足がむくむ方ほど、この差がはっきり出ます。

年代で変わる出方

結論: 同じ生理前のむくみでも、20代と40代では背景が違うことがあります。年代で確かめる項目が変わります。

20代から30代前半

周期が安定していれば、山の位置も読みやすくなります。この年代では、飲み始める時期を決めるだけで手ごたえが出ることが多くあります。

一方、無理な食事制限をしている方も多い年代です。極端に食べる量を減らしていると、水の巡りを支える力そのものが落ちます。この場合は、飲むものを足すより食べ方を戻すほうが先になります。むくみが気になって食事を減らすと、かえって長引くという形になりがちです。

30代後半から40代

周期が短くなったり長くなったりし始める時期です。予定日が読みにくくなるため、山の3日前という使い方が難しくなります。

この場合は常用に切り替えるか、症状が出た日に飲む形になります。あわせて、周期の乱れそのものについては別の見立てが要ります。

前の年の記録が残っていれば、周期がどう変わってきたかも分かります。記録は、こういう時期にこそ役に立ちます。

更年期にさしかかる時期

のぼせや発汗が加わってくると、水の偏りだけでは説明が付かなくなります。この時期は五苓散だけで押し切ろうとせず、別の方向を組み合わせる場面が増えます。

生理前のむくみという同じ言葉でも、年代によって中身が変わるという点は、ご相談のなかで実際によく感じるところです。以前は効いていたのに最近は物足りない、という場合も、この変化が背景にあります。

産後の時期

産後は水の巡りが乱れやすく、むくみの相談が増えます。授乳中の場合は、飲むものを産婦人科に伝えたうえで判断する形になります。

産後は生理が戻る前後で状態が大きく動きます。生理が戻っていない時期のむくみは、周期とは別の背景で起きています。まず睡眠と水分の取り方を整えてから、それでも残る分に手当てをするという順番が無理のない形です。

記録の取り方|1周期で見る

結論: 生理開始日を1日目として、症状と体重を並べます。1周期分あれば山の位置が分かります。

記録する4項目

  1. 生理開始日から数えて何日目か
  2. その日の体重(朝、排尿後、同じ服装で)
  3. 頭痛の有無と、鎮痛薬を使ったかどうか
  4. むくみを3段階で(気にならない/夕方だけ/朝から)

これだけで、症状がどこに集中しているかが見えます。書くのは1日30秒ほどで済みます。手帳でも携帯の記録でも構いません。4つ全部が難しければ、体重と鎮痛薬の回数の2つだけでも足ります。数えられるものを残すことが、あとで比べられるかどうかを決めます。

1周期で判断できること

山の位置と、体重の増減の幅が分かります。生理前に1.5キロ増えて生理3日目に戻る、といった形がはっきりします。

この山が分かれば、次の周期からいつ飲み始めればよいかを決められます。

1周期目は、効いたかどうかを判断する期間ではありません。自分の型を知るための期間です。ここを飛ばして飲み始めると、いつから飲めばよいかが決まらないまま続けることになります。

3周期で判断すること

飲み方が決まったら、3周期続けて症状の出方を比べます。鎮痛薬を使った日数が月に5回から2回に減っていれば、動いています。

周期ごとに揺れがあるので、1周期だけで判断しないのが要点です。仕事の忙しさや睡眠の状態でも変わります。3周期のうち2周期で良くなっていれば、方向は合っています。全部が良くなることを条件にすると、いつまでも判断できなくなります。

改善症例|周期に合わせて使い方を変えた2例

結論: 同じ五苓散でも、飲むタイミングを変えるだけで手ごたえが変わることがあります。当薬局で伺った2つのケースをご紹介します。

ケース1:30代女性|飲み始めるのが遅かった

症状: 生理前の頭痛とむくみで五苓散を3か月飲んだが、あまり変わらないとご相談をいただきました。飲み方を伺うと、頭痛が始まった日から飲んでいました。

アプローチ: 1周期記録していただくと、症状の山は生理開始の3日前から2日目までに集中していました。生理予定日の1週間前から飲み始める形に変え、煎じ薬で桂皮を厚くしています。

経過: 次の周期から頭痛の強さが変わり、3周期後には鎮痛薬を使う日数が月5回から1回に減りました。合っていなかったのは漢方薬ではなく、飲み始める時期だった例です。

ケース2:40代女性|周期に関係ないむくみだった

症状: 生理前のむくみで五苓散を飲みたいとのご相談でしたが、伺うと毎日むくんでいるとのことでした。夕方に靴がきつくなり、朝も顔が腫れているとのことです。

アプローチ: 周期に連動していない点、片足だけではないものの押した跡が残る点から、まず医療機関での確認をお願いしました。漢方薬の開始はいったん保留にしています。

経過: 検査で腎機能の低下が見つかり、そちらの治療が始まりました。むくみは周期と無関係だったため、漢方薬で様子を見ていたら見つかるのが遅れていた例です。

よくある質問

Q. 生理中に飲むと経血が増えますか?

A. 増えません。五苓散には血を動かす方向の生薬が入っていないためです。飲んでいる方から経血量が変わったという訴えを伺うこともほとんどありません。ただし生理の様子が明らかに変わったと感じた場合は、他の要因も含めて確かめてください。

Q. いつから飲み始めればいいですか?

A. 症状の山の3日前が目安です。生理前に頭痛やむくみが集中する方なら、生理予定日の1週間前くらいから。まず1周期記録して、何日目に症状が出ているかを確かめてから決めるのが確実です。

Q. 生理痛にも効きますか?

A. 生理痛そのものに向かう漢方薬ではありません。五苓散が扱うのは水の偏りで、子宮の収縮による痛みは別の見立てになります。痛みが主訴なら、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や当帰芍薬散といった別の選択肢が候補です。

Q. ピルと一緒に飲んでも大丈夫ですか?

A. 明確な相互作用の報告はありません。ただし処方している医療機関には伝えてください。ピルの副作用としてむくみが出ている場合は、五苓散を足す前に種類を変えられないか相談するほうが順序としては先になります。

Q. 何周期続ければ判断できますか?

A. 3周期が目安です。周期ごとに揺れがあるので、1周期だけでは判断できません。鎮痛薬を使った日数と、生理前後の体重の増減幅を並べて比べてください。

まとめ

五苓散は生理中に飲んで差し支えない漢方薬です。血を動かす方向の生薬も甘草も含まないため、経血量への影響や、むくみを起こす副作用の心配が少ない部類に入ります。

むしろ、生理前から生理中にかけては出番の多い時期です。排卵後は体が水分をため込む方向に傾き、頭痛、吐き気、むくみが同時に来ることがあります。ばらばらの症状に見えて、背景は1つです。

要点は飲み始める時期です。症状が出てから飲むより、山の3日前から飲むほうが手ごたえが出ます。まず1周期記録して、生理開始日から何日目に症状が集中しているかを確かめてください。

一方で、周期に関係なく毎日むくんでいる場合は、別の原因の確認が先になります。当薬局では記録を伺ったうえで、体に合わせた煎じ薬をお作りしています。飲み始める時期の相談も含めて、公式LINEからお気軽にご連絡ください。

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執筆者 濵田篤秀(薬剤師)

執筆者:濵田 篤秀

れいわ漢方薬局 渋谷店 薬剤師/博士(医学)

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